「ここに来てよかった」舞台上で感じる思い

23.  リサイタルでいちばん大切にしていることは。

石田 聴きに来ていただいたお客さんに満足してもらうことです。一人でも多くの方に満足してもらうために弾いています。
うまく弾こうとか、完璧に弾こうとかはさらさら思っていなくて、とにかく今の自分をいかに表現して、それが少しでもお客さんに伝わればいいかなと思っています。そして、それを聴いたお客さんがまた聴きに来たいと思ってくれたら本望ですね。

——いつからそう思って演奏しているのですか。

石田 けっこう前からだと思います。20代の頃から。

24.  今の楽しみは何ですか。

石田 それは自分が関わってるすべての公演ですね。あと、お客さんの反応も楽しみです。終わりよければすべてよしじゃないですけど、リサイタルの最後にスタンディングで拍手をしていただけると、「本当にここに来てよかったな」と思うんです。

——石田さんご自身がここに来てよかったと思うということですか。

石田 はい。そういう風景を僕は舞台から見て、「あー、本当に来てよかった」みたいな感情でいっぱいになりますね。
だって、弾いているよりも移動の方が絶対疲れるので、重い荷物を持って何時間もかけて、遠かったけど来てよかったと思えるから続けているんでしょうね。

25.  スケジュールはどのように管理しているのですか。

石田 2種類の紙に書いています。まず、神奈フィルの予定表に自分の予定を書き足して、年間のスケジュール帳にも書いています。この2つの予定表が大切ですね。

文字がびっしりと詰まったオーケストラの予定表
1年の予定を書いている大切なスケジュール帳