ショパンにはもっと長生きしてほしかった

——ステージで演奏するときもっとも大切にしていることはなんですか?

エリック・ルー うーん、難しいですね……やはり、音楽そのものに集中することだと思います。

——もしショパンが今、あなたの演奏を聴いていたとしたら、何と言ってくれたと思いますか?

エリック・ルー わかりませんが、ただ、僕の演奏を気に入ってくれていたらいいな(笑)。それだけが願いです。

——では、あなたからショパンに何かメッセージを送るとしたら?

エリック・ルー ありがとう、と伝えたいです。この音楽を書いてくれてありがとう。心と魂を込めてこの音楽を残してくれてありがとう。

それがいま、200年以上も経ってなお伝えられていることに感謝しています。

もう少し長く生きていてくれたら……もっと多くの素晴らしい音楽を残してくれたでしょう。

でも、それは音楽史の中で繰り返される悲劇でもありますね。

©Krzysztof Szlezak
三木鞠花
三木鞠花 編集者・ライター

フランス文学科卒業後、大学院で19世紀フランスにおける音楽と文学の相関関係に着目して研究を進める。専門はベルリオーズ。幼い頃から楽器演奏(ヴァイオリン、ピアノ、パイプ...