――逆に、ダンスの経験が音楽の学習にプラスになったことは?
ラヴォー 音楽の勉強をより効果的に進めることができたと思います。自分はすでにプルミエ・ダンスールだけれど、何でも得意なわけではありません。スコラ・カントルムで勉強を始めた時も、完全に学生時代に戻った感じで、落ち込むこともありました。
ですが、謙虚でいること、常に学び続けること、当たり前のことなど何もない、というのはダンサーの仕事から学んでいましたし、「なぜこれをやりたいのか? やりたいからやっているのでは?」という問いも、ダンサーとしてのキャリアの中で、すでに自分に問いかけてきたことです。ですので、音楽を深く学ぶことで、人間的にも成長したと感じています。
――今後、ご自身の活動で計画していることはありますか?
ラヴォー バレエ・ピアニストとしてクラスの伴奏をすることは続けていきたいです。クラスの音楽作りではいろいろなことを発見していて、それがとても幸せなことなんです。あと、クラスの中でも即興演奏をもっとやりたいと思っていて。何か美しいものを生み出していきたいのです。そしてもちろん、オペラ座で踊り続けていきたいですね。
自身のYouTubeチャンネルでは、バレエ・ピアニストとしての演奏を披露している
『バレエ伴奏者の歴史 19世紀パリ・オペラ座と現代、舞台裏で働く人々』
永井玉藻 著
定価 2420円
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美しき音楽に合わせ流麗に舞うバレエ・ダンサーたち――観る者を魅了する華やかな舞台からはその存在すら感じることはできないが、ダンスと音楽という別々の芸術形態を繋ぐ極めて重要な役割を果たしているのが、バレエ伴奏者である。
職業として確立しはじめた19世紀パリ・オペラ座のバレエ伴奏者たちの活動や役割などを明らかにしながら歴史を辿り、“陰の立役者”バレエ伴奏者に光を当てる。
世界最高峰のバレエ団パリ・オペラ座エトワールM.エイマンやバレエ・ピアニストM.ディートラン、ウィーン国立歌劇場専属ピアニスト滝澤志野、新国立劇場プリンシパル米沢唯、東京フィル・コンサートマスター近藤薫…等へのインタビューも実施。また、現在の育成事情についても紹介する。