その「リスペクト」は決して上辺だけの軽いものではない。ASKAのアーティストとしての信念とあわせて、力強いメッセージをいただいた。

ASKA　「数百年にわたる音楽を、ずっと勉強して継承している演奏家が、今日まで音楽をつないでいる。だからこそ、ポップスやロックのミュージシャン、僕らのようなアウトローが活動できている。でも、そんな僕らのほうが世間では馴染みやすくて、ときにはギャラにも恵まれて生活できている。

本当は、そうじゃない。クラシックのアーティストたちこそ、音楽で生活できるようになっていってほしい。だから僕たちが、彼らを積極的に紹介して心底リスペクトしているんだ、っていうことを示す姿勢が必要なんじゃないかと思う。ステージで共演するかたがたを紹介させていただくときも、そんな想いを込めているんです。　

2019年から2回、10人以上のストリングス・チームに参加してもらうという、ぜいたくすぎるツアーを開催できました。リーダーの谷口いづみさん（vn）を中心に仲良くさせてもらって、いま僕の音楽活動には本当に欠かせない仲間。ピッチ、リズム感、キレと柔らかさ、すべての要素が見事だし、舞台上の派手な演出にも付き合ってくれる。

ひと時代前はね、クラシック畑の人とはあまり話すことができなかった。どこか僕らに『来ていただいている』という気持ちがあって、だから相手も『来ましたよ』っていう温度差があったんだ。

いまはそれが一切ない。共演することを心底楽しんでくれているし、パフォーマーとして、大勢のお客さんの前で演奏する喜びを感じてくれている。こうしたかたちのチームで活動を続けて、いつか皆さんとスタジオ録音でアルバムを作ってみたい。いま、そんな目標を掲げているんです」

「ASKA premium concert tour –higher ground–アンコール公演2022 Bluray＋Live CD 」10人以上のストリングス・チームは、ASKAの色鮮やかな音楽性を表現するステージには欠かせない存在。