演奏後の交流会、プロによるヘアメイク……シャネルならではの取り組み

 ——シャネルの主催だからこその、他のコンサートとの相違点はどのようなところでしょうか?

演奏の機会をご提供するだけでなく、プロフィール写真のご用意、ヘア&メイクのアドバイス(コンサート時は毎回プロによるヘアスタイリングとメークアップが入ります)、コンサートを記録したお写真や音源のご提供、インタビューのウェブ掲載やPR活動など、演奏家ご自身が今後の演奏活動において活用できるものをご提供しています。衣装はお手持ちのものを着用いただきますが、事前にご相談いただだき、アドバイスさせていただいております。

2018年参加アーティストの太田糸音さん、演奏前の様子。プロの手によって、より一層華やかな装いに。

また、シャネル・ネクサス・ホールのネクサスは「結びつき」を意味していることから、若手音楽家の方々にはこのホールでただ演奏するだけでなく、いろいろな方と出会っていただき、それがいつかネクサス・ホールの外での活動の糧になればと考えております。

コンサートでは、終了後にお客様と直接お話する時間を作るなどして、アーティストたちが自分のファンを作り出せるよう、さまざまな人たちと出会えるよう、その場所をつくるケアと、お客様とのコミュニケーションの仕方(社交)も学んでいただけたらと思い、アドバイスも行なっております。

終演後、お客様との交流会の様子。
サインに応じる参加アーティスト。

コンサートを聴くことも「ピグマリオン」に

 ——シャネル・ピグマリオン・デイズは、音楽とファッションをつなぐ架け橋として、どのような役割を担っているでしょうか?

若手音楽家の方々の活動をご支援させていただくのはもちろんのこと、銀座にふらりと遊びにいらした方やシャネルのブティックにいらした方が、気軽に無料でクラシック音楽を楽しむことで、クラシック音楽をもっともっと身近なものに考えていただけることは、微力ながらクラシック音楽へのご理解を深めていただく第一歩なるのではと考えております。

また、「コンサートを聴く」「ファンになる」という支援方法も「ピグマリオン」になるひとつの方法であると、一般の方々にお伝えできればと思っております。またそれが間接的ですが、将来のクラシック音楽業界を担う若手音楽家の方たちへの支援になりえると幸いです。

小田島久恵
小田島久恵 音楽ライター

岩手県出身。地元の大学で美術を学び、23歳で上京。雑誌『ロッキング・オン』で2年間編集をつとめたあとフリーに。ロック、ポップス、演劇、映画、ミュージカル、ダンス、バレ...