交響曲というオーケストラの花形ともいえる音楽形式は、19世紀前半のロマン的表現を、18世紀以前の古典的形式とどのように調和させるかに苦慮した結果、1850年までには衰退し、新しい交響詩などに取って代わられます。
とはいえ、その四半世紀後には、ブルックナーやブラームスによって新たな活力が与えられました。19世紀初頭の楽曲では、一般的に50〜70人程度の規模が求められたオーケストラは、20世紀を迎える頃には倍近く、100人規模の奏者を求められるまでに膨れあがり、交響曲、そしてオーケストラにとってあらたな黄金期がやってきます。
19世紀末から20世紀にかけては、欧米の各都市にもあらたなプロ・オーケストラが発足しています。やはり2022年に来日するボストン交響楽団の創立は1881年、ロンドン交響楽団の創立は1904年にまで遡ります。ドイツ・オーストリアを中心として発展してきたオーケストラ、そしてその作品を愉しむ文化が、ヨーロッパはもちろん、アメリカにまで届いたことを意味するでしょう。
第二次世界大戦以降、各都市に生まれるオーケストラの数はますます増加の一途をたどります。パリ管弦楽団の創立は1967年です。目を日本に転じても、戦前から活動を続けていたいくつかのオーケストラを除き、そのほとんどは戦後に活動を始め、各都市に根ざした活動を続けています。