ダンスを観ることは、 作曲家のイマジネーションを再発見すること

——本番が楽しみです。そして、この夏に開催される第17回世界バレエフェスティバルにもご出演が決まりましたね。世界中のトップダンサーたちが集まるイベントですが、前回、印象に残っている出会いは?

ユーゴ インスピレーションを与えられたダンサーはたくさんいました。たとえばオルガ・スミルノワ、ウラジミール・シクリャローフ、マルセロ・ゴメス……。ハンブルク・バレエの菅井円加さん、アレクサンドル・トルーシュさんも素敵なダンサーでしたね。

日本のお客さまは、バレエの知識も深く、本当に私たちを愛してくださっている。期待度の高いお客さまの前で踊ることは、実はプレッシャーも大きいのですが(笑)、踊りきれたときの喜びも大きいです。みなさんの素晴らしい熱意には、いつも感謝の念を抱いています。

――日本には熱心なバレエ・ファンも多い一方で、バレエ音楽は好きでもバレエそのものをあまり観ないという人も多いようです。ユーゴさんはいろいろなかたちでバレエを広める活動を行なっていらっしゃいますが、音楽ファン向けにバレエの良さを伝えるとしたら?

ユーゴ そうですね。ダンスを観るということは、音楽を違った方法で聴くこと、楽譜を違う方法で理解することだと思います。ダンスを観るとき、必ずしも物語やダンサーを理解する必要はなくて。動きを通して、作曲家のイマジネーションを捉えなおし、作曲家の意図を再発見できるところが、ダンスの面白さではないでしょうか。

——歌と踊りが分かちがたく結びついているように、音楽を聴くこととダンスを観ることにも深いつながりがありますね。今日はありがとうございました!

坂口香野
坂口香野

ライター・編集者。東京都八王子市在住。早稲田大学第一文学部美術史専修卒、(株)ベネッセコーポレーションを経てフリーに。ダンス関係を中心に執筆。盆踊りからフラメンコまで...