——コンクールの出場者としてではなく、ひとりのアーティストとして、ショパンのどんな面を表現したいと思いますか?

イ・ヒョク 興味深い質問ですね。「メランコリー(憂愁)」を表現したいと思っています。メランコリーは、ショパンの音楽の中でもとても重要な側面のひとつです。

——ステージ上で演奏前に、よく微笑んでいらっしゃる印象があります。

イ・ヒョク 演奏中には笑ってないですよね?(笑)

ステージに上がるとき、そして演奏を終えたときに微笑んでいるのは、観客のみなさんが私の演奏を聴きに来てくれたことに、本当に感謝しているからです。だからこそ、笑顔で挨拶するんです。

——ステージでもっとも大切にしていることはなんですか?

イ・ヒョク やはり、自分が感じている感情をしっかりと表現し、それを聴衆に伝えることですね。

お互いを思いやる姿に感激でした!
三木鞠花
三木鞠花 編集者・ライター

フランス文学科卒業後、大学院で19世紀フランスにおける音楽と文学の相関関係に着目して研究を進める。専門はベルリオーズ。幼い頃から楽器演奏(ヴァイオリン、ピアノ、パイプ...