いちばんの関心は演奏者が「伝えたい何か」を持っているか

——今年審査員を務められるにあたり、どのような視点や基準を重視されますか?

アリソン 私は審査員として聴くときには毎回、ピアニストであれ歌手であれ、心を動かしてくれる人を探します。このレベルにおいては、技術的なことは当然クリアされているはずです。もちろんそこに問題があれば良い印象を妨げてしまいますが、私が本当に関心を持つのは、演奏者が「伝えたい何か」を持っているかどうかです。

——ショパン・コンクールをフォローする聴衆には、どのようなことに注目して聴くことをおすすめされますか。

アリソン ショパン・コンクールには、聴衆を含め、誰もがそれぞれの好みや期待、視点を持って臨みます。ですから、「こう聴くべきだ」と助言するのは難しいですね。ただ、皆さんがエキサイティングで実りある時間を過ごされることを願っています!

取材・文
三木鞠花
取材・文
三木鞠花 編集者・ライター

フランス文学科卒業後、大学院で19世紀フランスにおける音楽と文学の相関関係に着目して研究を進める。専門はベルリオーズ。幼い頃から楽器演奏(ヴァイオリン、ピアノ、パイプ...