「自分にとって必要な表現が絵本だった」

樹原 自分なりの、独特のものが見つかった時の喜びですよね。自分から発する楽しさ。

五味さんは、子どもの頃から絵を描くのがお好きだったんですか? 独特の絵を?

「楽しい、っていうのは苦しさも含めて楽しいんだよね。俺だって絵を描いててずっと楽なわけじゃなくて、お尻は痛いし、手は痺れるし……(笑)」

五味 ぜんぜん。絵を仕事にするなんて思いもしなかった。むしろ肉体表現する人なのかな、と。ダンサーは狙ってたな。中学では体操部だったし、歌舞伎が好きで大部屋に入ろうとしたこともある。それが、なんか知らないうちに絵を描いたり文章を書き始め。ギター弾いて歌ったりとか。表現するのは好きだったんだね。

工業デザインの勉強もしたけど、20代の終わりぐらいにちょっと身体を壊したこともあり、家に引きこもって夜に描いていたら、それが絵本だったんだよ。理由なく。俺にとって、こういう表現が必要だったんだろうね。

樹原 はじめから絵ではなかったんですね。それまでの経験すべてが絵の中に凝縮されているんですね! 

五味太郎さん、樹原涼子さんサイン入り「おんがくえほん こっけん」を2名様にプレゼント!【2025年2月20日締切】

応募方法はこちら

新刊情報

おんがくえほん こっけん
樹原涼子 作曲/五味太郎 絵

定価2,200円(本体2,000円+税)

 

楽譜が読めなくても、ピアノに触ったことがなくても、「こっけん」と遊ぶだけで、あっという間に不思議な音世界が広がるわくわくのおんがくえほん。
五味太郎さん描き下ろしのとっても素敵な絵が、「もっと好きに遊んでいいよ!」と呼びかけてくれます。
小さな手でもつかみやすい黒鍵、けんばんで探しやすい黒鍵、とっても魅力的な音がする黒鍵――「ねこ ふんじゃった」に対抗して生まれた《ねこ ふんじゃダメ!》、《しろ、くろ、ハッキリしようぜ》など、黒鍵を使った工夫溢れる個性的なソロと連弾12曲が、ピアノという幸せにいざなってくれます。

内海 陽子
内海 陽子 編集者、ライター

某洋酒メーカーでの文化広報誌製作を経て、フリーランスに。音楽、美術、絵本、旅などのテーマを中心に、インタビューや取材を重ねている。祖父が遺したヴァイオリンを40半ばで...