——「エチュードプロジェクト」の今後の見通しについて教えてください。2作目、3作目についてもお考えでしょうか?

町田 「エチュードプロジェクト」はあくまで“種まき”で、今回の作品は1粒目の種です。種が芽を吹いて巨木に育つまでには、数多くの方々の力が必要です。日本はもちろん、北米やヨーロッパにもスケート愛好者は多いので、この作品を自由にアレンジしてACCクレジットを守ったうえで、SNSに拡散してくださったら嬉しいです。初音ミクのように、n次創作的に世界に広がってくれたら。

2作目、3作目はもちろんつくりたいですけれど、実はマンパワーも経済的にも大変ですので、長期的な視野で考えています。今回の方法論を使って、新しいエチュードプログラムを創作してくださる振付家が出てきたら、本当に嬉しいですね。

 

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町田樹さんによる「エチュードプロジェクト」について、前編と後編にわたりお届けしてきましたが、いかがでしたでしょうか?

実は今回で終わりではありません。なんと! 町田さん、口笛奏者・青柳呂武さん、ハープ奏者・小幡華子さんによる豪華対談が実現しました。その対談の模様は7月下旬にお伝えいたします。お楽しみに!

エチュード#1−1 《チャーリーに捧ぐ》演技

エチュード#1−2 《チャーリーに捧ぐ》作品解説

エチュード#1−3 クリエイティブ・コモンズ・ライセンスについて

町田 樹(まちだ・たつき)
1990年、神奈川県川崎市生まれ。3歳からフィギュアスケートを始め、2006年、全日本ジュニア選手権で優勝。2012/13年シーズンのグランプリシリーズ・中国大会で初優勝を飾る。2013/14年シーズンは全日本フィギュアスケート選手権で準優勝、ソチ五輪に出場し、団体戦と個人戦でともに5位入賞を果たす。翌月に開催された世界選手権では銀メダルを獲得した。同年12月に競技者を引退。早稲田大学大学院において研究に励むと共に、自ら振り付けた作品をアイスショーなどで発表し、2018年10月に実演家を引退。現在も研究生活の傍ら、振付家としても活動している。
早稲田大学大学院スポーツ科学研究科博士課程修了後、現在は國學院大學人間開発学部にて助教を務める。
博士(スポーツ科学)。主著に『アーティスティックスポーツ研究序説――フィギュアスケートを基軸とし
た創造と享受の文化論』(白水社、2020年)、『若きアスリートへの手紙――〈競技する身体〉の哲学』(山と溪谷社、2022年)、監修を務めた『さあ、氷上芸術の世界へ――フィギュアスケートと音楽』(音楽之友社)、作品映像集に『氷上の舞踊芸術――町田樹振付自演フィギュアスケート作品Prince IceWorld映像集2013-2018』(新書館、2021年)、などがある。J SPORTSのスポーツ教養番組「町田樹のスポーツアカデミア」では企画・構成から司会進行まで務めている。2022年3月放送「アーティストとアスリートの身体・精神論 音楽家 反田恭平」で第12回衛星放送協会オリジナル番組アワード 番組部門 文化・教養最優秀賞。また優れた文業に対して贈られる第16回「(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞」、2022年度ミズノスポーツライター賞最優秀賞などを受賞。