強く、しなやかに歌い続けるために

——以前、「オペラ歌手は根性がないと務まらない」とお話しされていましたが、“オペラ歌手の根性”とは。

森: すごく緊張していたり、不安が押し寄せてきていても、それを押し殺してでもやらなければいけない、歌わなければいけない――そういう覚悟のことです。

お客様は、いい音楽を楽しみに来てくださっているわけで、「今日は無理なので帰ります」とは絶対に言えませんよね。そういう意味で、強い気持ちや精神力が必要になります。

とくにソプラノは人数も多く、素晴らしい方もたくさんいらっしゃるので、自分をしっかり持っていないと埋もれてしまう。ほかの声部よりも、“根性”が求められるのではないかと思っています。

——運動や身体づくりはどのようにされていますか。

森: 私はそれほど運動が得意な方ではないので、週に2、3回くらい、ピラティスの要素が入った柔軟体操をしています。体幹や腹部・背中の深層筋を意識する動きですね。

歌の支えは丹田からくると言われますが、やはり体の内側を整えることが重要です。お風呂やミストサウナで体を温めてからストレッチをすると、血行もよくなって、リラックスにもつながっています。

実は大学時代はスキー部で、水泳もよくやっていました。さすがに今は風邪を引いたらいけないので、スキーはやりませんが、プールには入るようにしています。

あとは、家の片付けも運動のひとつだと思っています。

——確かに、掃除も体を使いますね。

森: 家の中を整えると心も整う気がして、苦手だった片づけにも取り組むようになりました。以前は忙しいからと後回しにしてしまいがちだったのですが、少しずつ。

ちょっとした拭き掃除でも、体を使うので、すべてのことはバカにしてはいけないですね。

それに、片付けてみると、物を探す時間も減りましたし、ずいぶんと同じものを持っていたと気づくこともできました(笑)。

さらに、我が家には犬1匹と猫3匹がいるのですが、犬と散歩に出かけることも、いい有酸素運動になっています。