自分の感性を信じることが何よりも大切

31. ほかの音楽家から学んだことは?

上野 今までついた先生方から、それぞれいろんなことを学びました。日本でついていた毛利先生はすごく真面目な方で、音楽に誠実に向き合うことを学びました。ドイツに行ってからはピーター・ウィスペルウェイ先生から、ソリストとしての生き方や在り方をみて学ぶことができました。そのあとベルギーでは、ゲイリー・ホフマン先生について、曲の解釈、アプローチを掘り下げることを教わりました。

32. 憧れの音楽家は?

上野 たくさんいますが、チェリストでいうと、スティーヴン・イッサーリスとか、僕がついていたピーター・ウィスペルウェイ先生、ヨーヨー・マ、ロストロポーヴィチ。

イッサーリスは知識量がすごいのに、音楽が、感性が知識量を上回っているので、アカデミックでボーリングな演奏にならないのがすごいと思います。ウィスペルウェイは、彼の人柄が飛び抜けてエネルギーにあふれていて、それが彼の音楽そのものに反映し、誰も真似できない唯一無二の芸術になっている所がすごいです。

ヨーヨー・マは音楽そのものも素晴らしいですが、それを使って何をするかということを考えていらっしゃるので、人のために人と人を繋げることを使命として活動しているところを尊敬しています。ロストロポーヴィチは、生きた時代が違いますが、苦労をした人で、音楽を使って平和の役に立つということを考えていた人なのかなと思います。

33. 音楽家を目指す後輩へアドバイスするとしたら?

上野 自分でも考えていますが、「なんで音楽をやっているのか」を忘れずに考え続けることが大事だと思います。

34. 音楽家がもつべき信念とは?

上野 自分の感性を信じることが大事だと思います。人に言われたからこうするとかではなくて、なるべく自分を信じて。難しいですが、それを曲げない。

35. 10年後の音楽界がどうなっていてほしい?

上野 クラシック音楽の聴き方は多様化していくと思いますが、そのなかでも、やはり本来の聴き方であるコンサート会場に足を運んで生の音楽を聴くというのはなくならないでほしいなと思います。経験として残るので。

36. インスピレーションを受けるのは?

上野 作曲家によりますが、ドビュッシーなどのフレンチを演奏するときには、絵画からインスピレーションを受けることもあります。バッハは僕の中では自然をイメージして弾くことが多いです。総合的に自然がいちばん多いですかね。

あとはソ連の作曲家の曲を勉強するときには、その時代についてのドラマやドキュメンタリーを見たりもします。『チェルノブイリ』というドラマは精神的に重かったですが、その時代の世界観を味わうにはとても良かったです。