インタビューは井上さんのお誕生日(12/23)近くに行われた。ひと口だけ残したケーキにローソクを灯して「これ、今の僕の状態」といたずらっ子っぽく笑った

ラストコンサートに何をやるかは本当に悩んだ

サントリー音楽賞のご褒美である12月30日のラストコンサートには、ショスタコーヴィチはもういいと思った。この後、録音の編集がすべて整えば15曲の全集をもう一つ出しますし。最後は「名曲とはどういうものかという疑問に答える内容」で終わるつもりなんです。

メンデルスゾーンの22歳の時の名曲。ベートーヴェンのもっとも素晴らしい、しかし(間違った)大編成での演奏が多いため誤解されていると私が思う「田園」。そして、一生を交響曲とは何か?を考え、音楽の中心から離れた僻地で、シベリウスが実験と個性的な視点から作り続けた交響曲の最後の作、短いが難曲ともいえ、感動に至る演奏に仕上げるのがひじょうに難しい7番。最後に、なんの祝典かはみなさんの想像にお任せしたいショスタコーヴィチの《祝典序曲》です。

もちろんアンコールも悩みましたよ。ぜひ最後の最後まで晩餐を楽しんでください。裏切るのは指揮者かも。でもね、キリストは彼を許したのです。彼を許さなかった人類の歴史が今も! 仙人?千人?二千人?

 

井上道義さんからのメッセージ動画はONTOMO公式Instagramからご覧いただけます

公演情報
第54回サントリー音楽賞受賞記念コンサート 井上道義(指揮)
※会場チケットは完売しています
日時・会場:
2024年12月30日(月) 15:00開演 サントリーホール
→終了しました

出演・曲目:
指揮:井上道義
読売日本交響楽団

メンデルスゾーン:序曲『フィンガルの洞窟』 作品26
ベートーヴェン:交響曲第6番 ヘ長調 作品68 「田園」
シベリウス:交響曲第7番 ハ長調 作品105
ショスタコーヴィチ:祝典序曲 作品96
※当初発表していた曲目から変更がございます。

寺田 愛
寺田 愛

編集者、ライター。女性誌編集、ECサイト編集・ディレクター、WEBメディア編集長、書籍編集長などを経て現在。はじめてクラシック音楽を生で聞いたのは生後半年の頃。それ以...