――本書にご登場いただいたゲストのかたとのコラボレーションも続きますね。
宮田 昨年12月には、三浦文彰さんとも「室内楽フェスティバル AGIO vol.2」で久しぶりに共演しましたし、津軽三味線奏者の上妻宏光さんとのツアーも同月に完奏しました。
小山実稚恵さん、矢部達哉さんとはまた、2月にシューベルト「ピアノ三重奏曲第1番」「同第2番」で共演させていただきます。バレエダンサーの堀内將平さんとは『Dai-versity Vol.3~舞踊と伝統~』公演で3月に共演しますし、同月には札幌交響楽団と川瀬賢太郎さん指揮で菅野祐悟さんの「チェロ協奏曲《十六夜》」を演奏します。
直近で1月からは大萩康司さんともツアーが始まりますし、いろいろと新しいことがやってくるのでワクワクしています。
――堀内將平さんとは初共演ですね。
宮田 3月の共演では、堀内さんは曲に合わせて振付を新しく考える表現者、自分は作曲家が書いたものの再現者として舞台にいるかたちになると思います。
ですが、堀内さんからたくさんの情報を得て、再現者としてだけでなく表現者にもなって、いろいろな角度からアプローチできればと思っています。
堀内さんの振付によってどういうふうに音楽が変わっていくか楽しみですし、あくまで今回は堀内さんがメインで、堀内さんのために弾きたいと思っています。
――植松伸夫さんに「作曲は植松さんにとって自己表現ですか?」と質問されていましたが、宮田さんにとってチェロを弾くこととは?
宮田 そうですね。あまりカッコいいことは言えないですけれども、私は言葉で人に伝えることはあまり得意ではないと思っていて、相手にその言葉がどのように伝わるかということを、すごく考えてしまいます。生徒に対しても、ときに叱らないといけない場面もありますが、生徒にかけた言葉が自分に跳ね返ってくるようで心が痛みます。
そんなふうに言葉で伝えることは難しいことですが、音楽、チェロでは自分を自由に表現できます。「うれしい」という感情を、ただ「うれしい」ではなく、それがどういうふうにうれしいのか、その言葉の前につく細かなニュアンスまでも表現できる。私にとってチェロは、そういう媒体なのかなと思います。
『音楽の友』2月号 別冊
『音楽の友』編
定価2420円(税込)
【対談・鼎談ゲスト】※連載登場順。敬称略
平原綾香(歌手)
上妻宏光(津軽三味線奏者)
久石 譲(作曲家・指揮者・ピアニスト)
辻井伸行(ピアニスト)
三浦文彰(ヴァイオリニスト)
倉田澄子(チェリスト)
桐竹勘十郎(文楽人形遣い)
植松伸夫(作曲家)
小山実稚恵(ピアニスト)
矢部達哉(ヴァイオリニスト)
ジュリアン・ジェルネ(ピアニスト)
水野優也(チェリスト)
LEO(箏奏者)
堀内將平(バレエダンサー)
三宅依子&中 実穂(チェリスト・東京チェロアンサンブル メンバー)
平 常(人形劇俳優・演出家)
大萩康司(ギタリスト・作曲家)
山中惇史(ピアニスト・作曲家)
山田和樹(指揮者)
高嶋ちさ子(ヴァイオリニスト)
内藤 廣(建築家)
菅野祐悟(作曲家)
竹澤恭子(ヴァイオリニスト)
永石勇人(弦楽器製作家)
辻本 玲(チェリスト)
石丸幹二(俳優・歌手)
山本 修(コントラバス奏者)
山本 大(チェリスト)
ニコライ・バーグマン(フラワーアーティスト)