芝居していることを忘れるほどの熱量でジョン・レノン役に挑む

——新作舞台は、4年ぶりの再演となる「BACKBEAT」。ビートルズがまだ10代だった、ハンブルク巡業時代を描いた青春物語で、役柄は初演に続きジョン・レノンです。伝説的なスターを演じることにプレッシャーは?

加藤 プレッシャーしかなかったです(笑)。でもみなさんの考えるジョンは、デビューしてからのマッシュルーム・ヘアーのイメージだと思います。僕が演じるのは、まだ荒れていたハンブルク時代のジョンなので、それならばあまり気負わずにできるかもしれないなと。とはいえ、もちろん知っている方もいますので、熱量は惜しまずに表現するつもりです。

——舞台は、ジョンと5人目のビートルだったスチュアート・サトクリフの友情を中心に描かれますが、初演で一度ジョンを演じて、何か発見はありましたか?

加藤 ジョンにとって、スチュがどれだけ大切な存在だったかを知ったのは大きかったですね。ジョンの音楽性の根底にあるものや人間性は、スチュがいたからこそなんだと実感しました。それは実際に演じてみたからこそわかったことで、新たな発見でした。

——劇中で披露される、20を超える初期ビートルズの曲の生演奏はこの舞台の見どころです。実際演奏してみて、手ごたえは?

加藤 この舞台の歌は、自分たちで演奏するという点で、ミュージカルや自分のライブとは全然違うんですよ。他のメンバーとの信頼関係を感じるし、毎回何が起こるか味わえないドキドキがあって。特にあの頃の彼らは、生きるためにライブで歌っていたので、ある意味演奏も命がけなんです。その熱量は演じている僕たちが芝居をしていることを忘れてしまうほどです。

——特に思い入れのある楽曲は?

加藤 ビートルズのハンブルク時代の曲は、ほとんどこの『BACKBEAT』でしか触れられないと思うのですが、特に「ツイスト・アンド・シャウト」がすごく好きですね。ジョンの魂の叫びみたいなものが感じられる曲なので。スチュをバンドに引き込むきっかけになる、「ジョニー・ビー・グッド」にも思い入れがあります。

「ツイスト・アンド・シャウト」、「ジョニー・ビー・グッド」

——共演者たちと、稽古場の雰囲気はどうですか?

加藤 今回、再演に向けてバンドリハーサルで会ったときにも、どこか身内のような感覚でした。みんな同世代ということもあって、初演のときから、自分たちの関係性はビートルズのあの雰囲気と変わらないんです。

あと、久しぶりにとっつー(戸塚)に会ったら、以前と少し雰囲気が変わっていたんです。今のとっつーがスチュを演じたら、とんでもない魅力を放つんじゃないかと思ったので、それに負けないくらいのエネルギーを出したいですね。スチュに惹かれていくジョンの心の揺れ動きをよりリアルに表現していきたいと思います。

——最後に、改めてこの舞台への抱負をお願いします。

加藤 誰もが知っているビートルズという伝説のバンドの始まりの物語になります。再演ではありますが、自分たちは初演の気持ちで臨むつもりです。『BACKBEAT』旋風が劇場を包み込む、そんな作品にしたいと思っています。

スタイリスト:ゴウダアツコ
ヘアメイク:国府田雅子[b.sun]、田坂貴恵、伊藤こず恵
公演情報
舞台『BACKBEAT』

【兵庫公演】
日時: 2023年4月28日(金)〜5月3日(水祝)
会場: 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール

【熊本公演】
日時: 2023年5月6日(土)〜5月7日(日)
会場: 市民会館シアーズホーム夢ホール(熊本市民会館)大ホール

【大阪公演】
日時: 2023年5月20日(土)〜5月21日(日)
会場: 枚方市総合文化芸術センター 関西医大 大ホール

【東京公演】
日時: 2023年5月24日(水)〜5月31日(水)
会場: 東京建物Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)

出演: 戸塚祥太(A.B.C-Z)、加藤和樹、辰巳雄大(ふぉ~ゆ~)、JUON(FUZZY CONTROL)、上口耕平
愛加あゆ、鍛治直人、東山光明、西川大貴、加藤将、工藤広夢
尾藤イサオ

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取材・文
NAOMI YUMIYAMA
取材・文
NAOMI YUMIYAMA ライター、コラムニスト

大学卒業後、フランス留学を経て、『ELLE Japon(エル・ジャポン)』編集部に入社。 映画をメインに、カルチャー記事担当デスクとして勤務した後、2020年フリーに...