——その後、プロとして本格的に進もうと決めたのはいつ頃だったのでしょうか。
山川: 最初は「とにかくオーケストラに入りたい」という気持ちが強くて、ポジションにはあまりこだわらずにオーディションがあればどんどん受けていました。あるとき、別のオーケストラでトランペットの下のパートのオーディションを受けた際に、演奏後の反応がすごくよくて。でもその場にいた金管セクションの方々が、「彼は首席向きだよね」と言ってくださり、それがひとつの転機でした。そこからは自分でも気持ちを切り替えて、首席の募集に絞ってチャレンジするようになりました。新日本フィルはその2つ目のオーディションで、ほんとうにタイミングがよかったと思います。
——新日本フィルに入って、どんな変化を感じましたか。
山川: 僕が入ったのは4年ほど前ですが、それ以前と比べて、オーケストラの雰囲気や音色は少しずつ変わってきたように感じます。とくにトランペットは奏者の個性が強く出る楽器で、僕の前に在籍されていた先輩方は、丁寧で柔らかい音が印象的でした。学生時代に新日本フィルの演奏を聴いたとき、「すごく上手だけれど、もう少し派手でもかっこいいのに」と思った記憶があって。入団後は、自分の持ち味であるパワフルで華やかな響きを活かして、少しでもその印象を変えられたらと考えていました。実際、この数年でオーケストラ全体のエネルギー感も増してきたように思いますし、それは奏者の入れ替わりや、指揮者・音楽監督の交代なども影響していると思います。
——舞台に立つとき、緊張やプレッシャーは感じますか。
山川: めちゃくちゃ緊張します。とくに試用期間中は、本番前にトイレで吐きそうになるほどでした。でも、ステージに上がるときはなるべく平静を装って、自然体で臨むようにしています。
——どの瞬間がいちばん緊張しますか。
山川: 舞台に上がってしまえば少し落ち着くのですが、始まる前はほんとうにドキドキします。トランペットはオーケストラの最後列にいても、その一音で全体の空気を変えてしまう楽器です。だからこそ、自分の音にオーケストラ全体の命がかかっているような緊張感があります。
——オフの過ごし方は。
山川: 料理が好きで、けっこう凝ったものも作ります。友達を呼んでホームパーティーをしたりもします。ただ、楽器以外にはあまり趣味がなくて……ほんとうに無趣味というか、音楽以外はあまりやってこなかったんですよね(笑)。つまらない人間かもしれないですけど、練習がいちばんのリフレッシュです。
——練習でどのようにリフレッシュしているのですか。
山川: 基礎練習をするのが僕にとってのリフレッシュになっています。エチュード(教則本)もたくさんあって、まだ手をつけていないものもあるので、それを一つひとつ消化していくのが楽しいですね。新しい教材も次々出てくるので、「これ全部やるのに一生かかるんじゃないか」と思うこともあります(笑)。
——逆に、やりすぎてしまうことはないですか。
山川: それはあると思います。でも僕は、吹かない期間があるとすぐに調子が落ちてしまうタイプなんです。1日休むと音がうまく出なくなる感じがして、毎日楽器に触れるようにしています。