前回のパリ・オリンピックではラグビーがシャンソンに!

パリではこうして、20世紀を通じて日々の話題が歌曲に昇華されて楽しまれてきました。

ところで、パリでオリンピックが開催されるのは1900年、1924年以来で、今回が初めてではありません。前回のオリンピックでは前述したミスタンゲットと組んで人気を博したモーリス・シュバリエによる「ラグビー・マーチ」で「巷はオリンピックの話題でもちきりだ、素晴らしいじゃないか! すごいことだ!」と歌っています。

モーリス・シュバリエ「ラグビー・マーチ」

今もフランスではラグビーがサッカーと同じくらい大人気ですが、当時も「陸上競技で一番素敵なのはラグビーさ!」だったようです。続いて歌詞は「お嬢さん、ラグビー選手を旦那にしなさいよ」と呼びかけます。「帰ってきたら耳は一個欠けてるし、鼻も潰れちゃってるけど、でも金メッキの杯を獲得して、新聞には写真が載るからね」まさにシャンソン・レアリスト!

今回もシャンソンとスポーツの複雑な関係から目が離せませんね!

岡本夢子
岡本夢子 19世紀末フランス文学研究・大学教員

専門は文学・芸術キャバレー「シャ・ノワール」。ワインが好きでフランス文学を専攻したのに留学先はビール大国ベルギー(言語学文学翻訳学博士 リエージュ大学)。長年の修行の...