——数学は今も勉強しているんですか?
パヴラク はい。実は、今も数学の博士課程に在籍しています。ただ、コンサートやショパンコンクールの準備があって、1年以上ほとんど進んでいません。大学にも行けなかったので、退学させられるんじゃないかと思ったのですが、大学はとても親切で、博士課程を延長する方法を見つけてくれました。コンクール後に大学へ行き、ほとんど謝りながら、「なんとか博士論文を終えたい」と伝えました。
残っている分量はそこまで多くないのですが、とはいえ難しい作業です。これから書き上げようと思いますが……来年の予定がどんどん埋まってきているので、時間があるかどうかわかりません。もし来年9月までに終えられなければ、今度こそ除籍になってしまいます。だから……どうか僕に時間が見つかるよう祈っていてください(笑)。数学の博士号を持っているピアニスト、というのも素敵だと思うので。
——素敵だと思いますが、ピアニストとしてすでに素晴らしいキャリアを築いているのに、数学の勉強を続けているのはなぜですか?
パヴラク そうですね、実はやめようと思ったこともありました。もし仕事を変える必要が出たとしても、修士号があれば十分だからです。それでも博士課程に進学したのは、数学に興味が残っていて「修士を終えたし、まだ興味もあるし、もっと学ぶべきかな」と思ったからです。
でも博士課程の途中で、ピアニストとしてのキャリアにほぼ全力で集中したいと決めたんです。博士論文にあまり時間を割けなくなってしまったけど、一度始めて少しでも時間を投じたものって、最後までやりきる前にやめるのはとても難しいですよね。だから今も「終わらせたい」という気持ちはあります。
ただ、もし博士号を取り終えたら、数学とはそこで一区切りにすると思います。ピアニストとして生きていきたいので。
——博士論文ではどんな数学を研究しているのですか?
パヴラク これまで、代数的位相幾何学(algebraic topology)を研究してきました。とても抽象的な数学なのですが、私はその抽象性に強く惹かれていたんです。そして今、博士論文では「非向き付け可能な曲面の写像類群(mapping class groups of non-orientable surfaces)」について取り組んでいます。
——すみません、日本語訳は後で確認しますね(笑)。
パヴラク これは数学の中でもかなりニッチなテーマなんです。数学者にこのタイトルを言っても、説明が必要なくらい知られていない分野なんですよ。

——では最後に、今後の展望や目標を教えてください。
パヴラク なるべく多くのコンサートで演奏したいですし、素晴らしいオーケストラや指揮者の方々と共演したいです。それに、幅広いレパートリーを弾きたいとも思っています。
毎年なにか新しい作品を勉強して、お客様に披露したい。可能な限りキャリアに多様性を保って、良い音楽家たちとのつながりを持ちたいと思っています。特に、ピアノ協奏曲は大好きなレパートリーなので、オーケストラとの共演の機会を得られたらと思っています。
——来日の予定はありますか?
パヴラク ぜひ伺いたいです。2回日本に行ったことがありますが、日本は大好きです。また日本で演奏できたら本当に嬉しいですね。