——フルート奏者としての藤井さんの立ち位置もまた、ユニークですね。
藤井 フルートの土台は2人の恩師、厳しかった林りり子先生と、小出信也先生に授かったものです。小出先生はNHK交響楽団の首席奏者で多忙でしたから、レッスン回数は少なめなかわり、地方への演奏旅行に連れて行ってくださいました。地元の名士が集まった宴会のお酌をさせられ、「なにか1曲、吹け」となります。こちらが当惑していると、酔っ払っているはずの小出先生が完璧に吹き、500人の宴席を静寂が支配しました。先生はフルートにおける武士道を説き「どのような場所、状況でもちゃんと演奏するのがプロだ」と、身をもって示したのです。
私もどのような宴会でもフルートを携え、中国のお客さまにはテレサ・テンのヒット曲、会長を務める神田法人会の新年会では宮城道雄《春の海》…… と場所や時に応じ、なんでも吹きます。譜面を読めるということはすなわち、論理的思考ができるということですから、桐朋でたたき込まれた基本はいまの経営にも生かされているのです。
——ありがとうございました.
旧ユーゴスラヴィア戦後復興のなかで生まれたバルカン室内管弦楽団の来日公演。国・民族・宗教を越え、隣人との共存共栄を願った奇跡のハーモニーが紡ぎ出すドヴォルジャーク「交響曲第8番」に注目。
〈日時〉2024 年5 月27 日(月)19 時
〈会場〉第一生命ホール(東京)
〈指揮〉栁澤寿男
〈共演〉鳥木弥生(メゾソプラノ)、藤井隆太(フルート)
〈曲目〉ファリャ「バレエ音楽《恋は魔術師》」全曲、尾高尚忠「フルート協奏曲」作品30a、ドヴォルジャーク「交響曲第8番」
〈料金〉全席指定:一般5,000 円、高校生以下1,000 円
〈チケット〉ローソンチケットhttps://l-tike.com/balkan/ 指揮者栁澤寿男後援会090-7009-6985
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「人生をより豊かにする音楽と医学~のど、脳、身体の機能から探る」
『音楽の友』に好評連載中の、耳鼻科医が歌手や管楽器奏者など、のどや身体を使う著名音楽家や声を酷使する俳優をゲストに招いて対談する「耳鼻科医から見たアーティストと演奏」。それを一つにまとめ、一挙公開する。著名アーティストたちがそれぞれの悩みや改善点を耳鼻科医と語り合う。
またこれから楽器や歌をはじめようとするときに、医学的な観点からアプローチ。姿勢や呼吸などから、楽器を演奏するとき、歌うときにそれぞれ最初から自然に故障なく続けられるような「導入」となる記事を掲載。
付録として、故障や疾病、ケガと戦うアーティストの奮闘のもようを専門医の協力を得て取材、収録。手首の骨折からの復帰のもようや、ジストニアの克服など、これまでになかった内容をインタヴューとして紹介する。
(協賛:株式会社龍角散)