——練習は好きですか。
石井 うーん……(笑)。最近は、年間70から80公演あるのでどうやって効率的に練習するかということにフォーカスしないといけなくなりました。だから、練習が嫌いなんて言っていられないです。時間との戦いです。昔は無限に時間があったからいくらでも練習ができたけれど、今では1時間でどこまで鍛錬できるかを考えるようにしています。それこそがプロの演奏家なのかなと思う時があります。
——そのほかに学生の頃と違うことは。
石井 ローラント・ケラー先生に、ピアニストとして大成するには「孤独を愛しなさい」と教えられてきましたが、今は一人の時間が減りました。減ったらからこそ、より一人でいられる時間が愛おしいです。あと、がむしゃらにやらずにリフレッシュする日は昔よりは作ることができるようになりました。これは自分でも超意外ですね。
——リフレッシュはなぜ必要なのでしょうか。
石井 曲を演奏する上でリフレッシュした方がうまく解釈できるのがわかるようになったのもありますね。ピアニストは24歳くらいで技術が決まると言われているので、今いくら練習しても、技術は上がらないですから。
——リフレッシュは具体的には何をされていますか。
石井 僕の場合は、1人の時間の継続で、美術館に行くようになりました。あとはランニング。夜の皇居ランにハマっています。すごく気持ちいいですよ。最初はまったく走れなかったんです。1キロ走って戻ってきて2キロ。今では5キロ45分くらいで走れます。
——そのほかに最近ハマっているものは。
石井 白スニーカーです。突発的に買ってしまいます。マネージャーからは「また買うの?」と言わるぐらい。そんなにスニーカーいらないでしょと言われますね(笑)。