“推し”文化でクラシック界は変わる

——47都道府県ツアーで30箇所を制覇されています。さまざまな土地でファンとお会いして、気づいたことありますか。

石井 まず、地域性がありますね。割と僕のイメージと違う場所が多くありました。たとえば、札幌の方はノリノリだったり、和歌山の方は奥ゆかしかったり。すごく楽しいです。

——“推し”という言葉に否定的な方もいますね。

石井 なぜ否定するのでしょうか。悲しいことです。僕は10年間海外で外国人として過ごして、異物扱いされてきました。でも唯一、僕が差別を感じなかった場所がクラシック音楽なんです。それにチャンスもたくさんもらいました。
今後、“推し”文化を歪みと捉えるのか否か。“推し”文化も今ではすっかりメジャーになっているので、クラシック界全体が変わっていけばいいだけです。僕らが何か変えるきっかけになれたらいいなと思っています。

——新旧クラシック界の橋渡し役として考えていることは。

石井 最初は推し活であっても、僕のコンサートに行くうちに「ベートーヴェンのシンフォニーっておもしろいよね」とか「一度聴きにいってみようかな」と思う方もいると思います。その方がほかの演奏会に行くって素晴らしいことですよね。活動を続けることで、結果みんなハッピーみたいな状態にしたいですね。難しいけれど。