ヴィルト氏は「合唱では全員で一つの響きを作りますし、一人の声が突出することがあってはなりません。でもそれは個性を抑えるということではなく、一人一人の能力が高ければ高いほど、全体としての響きがより良いものになっていくということです」とも。一人一人が各々の個性を伸ばしながらのびのびと成長しているからこそ、洗練された至高の歌声が実現するのです。

「ウィーン少年合唱団といえど、メンバーは普通の子どもです。当然、集中力が欠けることもありますが、カペルマイスターは一人一人の様子をしっかり見て取り、子どもたちが意欲的に練習へ向かえるよう取り計らっています。それもウィーン少年合唱団のカペルマイスターの仕事です」とヴィルト氏。

そしてヴィルト氏はこうも語ります。「子どもたちにはいろいろな国でコンサートを行なう中で、さまざまな文化や生活様式を体験し、あらゆる文化や宗教に対してオープンな心を持ってほしいと考えています。そして、それが人種差別をなくすことにつながることを願っています」……互いの声を聴き合うことで互いをわかり合い、歌を通して人々をつなぐ。そんな世界平和への願いも込められているからこそ、ウィーン少年合唱団の「天使の歌声」は人々の心を深く打つのでしょう。

インタビューに応えてくれたパウルさん(12歳)。「日本語で歌うのは初めてなので、少し難しいです。(日本ツアーで歌う)《ふるさと》は、故郷やお父さん・お母さんを思う歌なのだと理解して歌っています」
緊張してしまったときには「今はお客さんがまだ来ていないリハーサルだ!」と思うようにして乗り切るそう。
公演情報
ウィーン少年合唱団2023年来日公演

5月13日(土) 黒崎ひびしんホール 大ホール

5月17日(水) 国指定重要文化財 八千代座

5月20日(土) 東京オペラシティコンサートホール

5月21日(日) 愛知県芸術劇場 コンサートホール

5月24日(水) あきた芸術劇場ミルハス

5月27日(土) 熱海救世会館 大ホール

5月28日(日) 横浜みなとみらいホール

6月2日(金) 三重文化会館

6月3日(土) ザ・シンフォニーホール

6月4日(日) フェニーチェ堺 大ホール

6月6日(火) 黒部市国際文化センター コラーレ(カーターホール)

6月7日(水) 砺波市文化会館

6月10日(土) 坂東市民音楽ホール

6月11日(日) 河口湖ステラシアター

6月15日(木) 東京オペラシティ コンサートホール

6月16日(金) 東京オペラシティ コンサートホール

6月17日(土) 東京オペラシティ コンサートホール

6月18日(日) 東京オペラシティ コンサートホール