審査員長のシヴィタワに師事する中国のヨンフアン・チョンYonghuan Zhongもプレイエルとエラールを選択したが、使い方は反対。プレイエルで弾かれたマズルカ作品24-1では儚さをうまく表現していたが、2番はリズムのはずみが十分ではなく、4番は少し硬くなってしまった。対してエラールで弾かれたワルツ作品34-1は、楽器の特性を活かし、華やかな効果をあげていた。
「ソナタ第2番」もエラール。第2楽章など連打が多いので正解だろう。第3楽章の葬送行進曲は充実した響きの和音で、祈るようなトリオとともに精神性を感じさせた。第4楽章はペダリングが巧みで、響きの濃淡で聴かせた。
ショパン音大でオレイニチャクに師事するカミラ・サハゼスカ Kamila Sacharzewskaも同じ組み合わせ。エラールで弾かれたワルツ作品18はとても魅力的だった。冒頭のファンファーレを柔らかく響かせ、連打も鍵盤の跳ね返りを利用して美しいカーヴを描く。そのままマズルカ作品42に移る。間の取り方がうまく、音の連なりを楽しむような演奏だった。対してプレイエルで弾かれた「ソナタ第2番」の第1、2楽章はやや粗く、楽器を変えない方がよかったかもしれない。