バッハは2度結婚した。最初の妻はまたいとこに当たるマリア・バルバラ・バッハで、つまりはバッハ一族内の結婚。2人はバッハの最初の職場だったアルンシュタットで親しくなったと思われるが、それ以前にバッハ一族の会合で会っていた可能性はある。
2人は1707年10月17日に、アルンシュタット郊外のドルンハイムにある聖バルトロメオ教会で結婚式を挙げた。バッハはミュールハウゼンに転職していたが、同教会の牧師であるローレンツ・シュタウバーと親しかったので、わざわざこの教会を選んだのだ。
カンタータ第196番《主は我らを御心に留めたまえり》BWV196 は、この時のバッハの結婚式か、あるいはその8か月後に行なわれたシュタウバーの結婚式で演奏された可能性があるという。
J.S.バッハ「カンタータ第196番《主は我らを御心に留めたまえり》」BWV196:バッハと最初の妻マリア・バルバラの結婚式で演奏された可能性がある
マリア・バルバラはバッハと結婚して13年後、35歳で突然世を去った。バッハは当時宮廷楽長として仕えていたケーテン侯爵レオポルトのお供で旅に出ており、妻の死に目に会えていない。後には4人の子どもが残された。結婚以来ずっとバッハ家で暮らしていたバルバラの姉、フリーデレナ・マルガレータが頼りになったことだろう。