ダブル・キャリアを実現するための時間管理

――一方でラヴォーさんは、パリの名門音楽学校、スコラ・カントルム*で、音楽の専門的な勉強もされています。これもバレエダンサーには極めて珍しいことです。専門的な教育機関で音楽を学んだのは、どのようなきっかけからだったのでしょうか。

*スコラ・カントルム:パリで1894年に設立された音楽学校で、卒業生にはエリック・サティなど、著名人も少なくない。

ラヴォー 以前、怪我が多い時期があり、どうしたら怪我をせずに踊れるのかと悩んで、モチベーションを保つのが難しかったことがありました。自分にはダンス以外の何か別のことも必要で、その時により深めたいと思ったのが、音楽でした

スコラ・カントルムを選んだのは、作曲家のステファン・デルプラス先生が教えているからです。彼の音楽を聴いて、この人に和声学や対位法*を学びたいと思いました。そこで入学のための書類を持って指導を頼みに行ったら、受け入れてくれました。2019年のことです。

*対位法:複数の旋律を,それぞれの独立性を保ちつつ組み合わせる書法。

スコラ・カントルムでの勉強は、今は中断しているのですが、これまでに3年間、エクリチュール*のレッスンのほかに、ピアノや歌、指揮専攻などの学生と一緒に楽曲分析の授業を受けたり、オーケストレーションの授業に出たりしています。

*エクリチュール:和声や対位法、フーガ、楽曲のさまざまな書法など、作曲のための基礎的な学習

――オペラ座のプルミエ・ダンスールとして仕事をしながら、スコラ・カントルムでの学生生活を両立させるのはかなり大変なことだと思うのですが、どのように時間管理をしていたのですか?

ラヴォー スコラ・カントルムで履修していた授業は朝早く、オペラ座での仕事が始まる前にあったのです。あるいは夜の18時以降や、比較的自由な時間があった土曜日に。実は今でも、オペラ座での仕事の前にクラス・レッスンの伴奏に行っているんですよ。週に3回。

――週に3回 !?

ラヴォー 朝8時からね(笑)。ですので、クラスの伴奏をしたあと、オペラ座へ行き、今度は自分がクラスを受ける、というスケジュールです(笑)。

――常人には体力的にも気力的にも厳しそうです……。

ラヴォーさんが務めるプルミエ・ダンスールは、各公演で主要な役柄を担うため、クラス・レッスンから舞台稽古、オペラ座での本番から海外公演まで、日々過密スケジュールをこなす