ダンサーとして音楽を学ぶ意味

――そんなラヴォーさんが、音楽を深く知ることでご自身の踊りにプラスになったのは、どのようなことですか?

ラヴォー バランシン振付の《モーツァルティアーナ》にはちょっとした思い出があります。作品の中で、3つのステップの動きがずっと繰り返されるところがあって、その箇所の音楽は3拍子ではないんですよね。そこはカウントしない方がいい、と指導の先生に言われたのですが、私は振付が音楽にぴったりつけてあると感じていたんです。

それで、家でその部分を見直して、ここは2拍子で数えられる、しかもバランシンならきっとそう言うだろう。そう確信して、実際に先生の前で試してみたら、「そう、それだ、それでいい」と言ってもらえました(笑)。

ダンサーというのはオーケストラのもう一つの楽器のようなもので、独自の方法で楽譜を視覚的に表現するものだと思うんですね。ダンサーとして、どのように音楽を受け取り、身体的に翻訳して送り返すのか、が重要です。

身体の動きはリズムによって縁取られていますが、ある動きと別の動きのあいだには、さらにミクロな動きがたくさんあります。一つの動きを作るにしても、そのやり方、質、密度のすべてがとても繊細で、そこにダンサーの音楽性が表現できます。これは、ダンサーとして音楽を学び、これからも勉強し続けるつもりの自分が、今も続けていることです。

バランシン振付《モーツァルティアーナ》の音楽には、チャイコフスキーの「組曲第4番《モーツァルティアーナ》」が使われている(トラック16-19)