パリ・オペラ座バレエ団のバレエ・ピアニスト、ディートランさんにインタビュー!

そのバレエ・ピアニストとして、現在、パリ・オペラ座バレエ団の公演リハーサルでの伴奏を担う7人のうちの1人が、この道30年以上のベテラン、ミシェル・ディートランさんです。オーケストラの録音音源も使用できる現代において、リハーサル担当の伴奏者だけで7人いる(パリ・オペラ座のバレエ・ピアニストはクラス・レッスン担当とリハーサル担当に分かれており、総勢は12名)というのは、かなり多いように思うのですが……。

「(リハーサル担当に)異なる7人のピアニストがいる、ということは、7人それぞれの演奏の仕方がある、ということです。そして、なぜ異なる楽器奏者と一緒にリハーサルをするのか、というと、本番でオーケストラは舞台上を見ることができず、指揮者が仲介役となるので、その時々でやることが変化するということが非常に多いからなのですね。オーケストラの録音だけでリハーサルをやってしまうと、彼ら(ダンサーたち)は変化に適合できなくなってしまいます」(ディートランさん、以下同)

バレエ・ピアニストにはダンサーの音楽性を育てる大切な役割もある©Svetlana Loboff/OnP

こうしたダンサーの音楽性は、常に日々の練習などを通して培われていくものなのだそう。

ダンサーは反射神経を柔軟にして(音楽に)適応し、インスピレーションを得る必要があります。パリ・オペラ座バレエのエトワール、特にマチアス(・エイマン)はそれが大好きで、踊り始める前に、作品の中に自分が入っているのです。その一方で、“さあ、一緒に行こう”と声をかけてくれるかのように、こちらの演奏を見て、聴いてくれている」