ピアノとヴァイオリンの生演奏で浅田真央が滑る夢のような時間

辻井伸行と三浦文彰が演奏したのは全2曲。まず1曲目は、浅田がシニア1年目の2006/2007シーズンと、シニアの2013/2014シーズンでショートプログラム(以下SP)に使用したフレデリック・ショパンの《ノクターン第2番 変ホ長調 Op.9-2》。こちらは、2013年12月に行なわれた第82回全日本フィギュアスケート選手権、女子ショートプログラムの浅田の映像とともに演奏された。

最初のトリプルアクセルをはじめとした3つのジャンプの離氷から着氷、スピンの回転速度、緩急のあるステップ……映し出されるすべてのエレメンツと演奏が気持ちいいほどにピタリとはまっていく。まるで目の前で演技を観ているかのような臨場感があった。当時、筆者は会場であったさいたまスーパーアリーナで観戦していたが、当時の感動が蘇ってきたほどだ。

第82回全日本フィギュアスケート選手権、女子ショートプログラム(2013年12月)の浅田の映像とともに、この時使われた《ノクターン第2番》を辻井伸行と三浦文彰が演奏

2曲目は、浅田が2010/2011、2011/2012の2シーズンにわたって演じたリスト《愛の夢 第3番》。もともとソプラノの独唱歌曲として書かれた3つの曲をリスト自身がピアノ独奏版に編曲したもので、「BEYOND」の音源にもピアノ独奏版が用いられているが、本公演ではピアノとヴァイオリンのデュオ。

この日のために、あらかじめ三浦と辻井から音源をもらい、浅田とキャストたちが振付をアレンジしたという。さらに通常の公演でラストを飾る“フェニックス(不死鳥)”がテーマのオリジナル曲「BEYOND」で用いられる羽付きの衣装で登場。ゆったりとしたテンポと柔らかい旋律に合わせて、浅田と10名のスケーターが優美なスケーティングや華麗なジャンプなどを披露し、会場を魅了した。