スタートから早くも16年。ネクサス・ホールで初々しい演奏を聴かせ、卒業していったアーティストは70名を超える。今現役のプロ奏者として活躍中の演奏家を、数えきれないほど輩出してきた。
ネクサス・ホールのキャパシティは150名ほどだが、入場者は抽選で選ばれ(無料)、多いときは十倍以上もの競争率になる。ここ数年は特に、クラシックに詳しい音楽ファンの注目も集め、当選倍率はさらに熾烈なものになっているのだ。
ピアノ:金子三勇士(2009)、永野光太郎(2010)、實川風(2011)、浜野与志男(2012)、酒井有彩(2015)、務川慧悟(2017)、 太田糸音(2018)、 小井土文哉(2019)
ヴァイオリン:矢野玲子(2008)、滝村依里(2010)、千葉清加(2013)、長尾春花(2013)、会田莉凡(2014)、篠原悠那(2015)、毛利文香(2017)、坪井夏美(2018)、周防亮介(2019)
チェロ:辻本玲(2007)、伊藤悠貴(2014)、上野通明(2016)、 笹沼樹(2017)
ソプラノ:小川里美(2009)、市原愛(2010)、醍醐園佳(2015)、嘉目真木子(2017)
テノール:山本耕平(2013)、吉田連(2018)
バリトン:与那城敬(2008)、加耒徹(2014)
客層は、ほかのコンサートとは少し違っており、シャネルの優良顧客も華やかに装って現れる。雅やかな客席は、シャネルが生きた時代の社交界を想像してしまう。演奏家たちも、女性はシックなコスチュームで、プロの手によるヘアスタイリングとメークアップによって、素晴らしい淑女に変身する。
まだ人前での演奏経験が少ない彼らは、ステージでの美しい振る舞い方などをアドバイスされる。その甲斐あってか、男性も女性も回を重ねるたびに洗練されていく。
ピグマリオン卒業生たちにインタビューしたとき、あとから振り返っても、この日々はとても貴重だったと語っていた。学生時代はただ演奏に没頭していればよかったが、ここで表現者としての振る舞い方を学び、美しいマナーとは何かを吟味していくのだ。