山﨑亮汰は、第1日の午後に登場。「ワルツ」作品34-1では、精彩に富んだタッチを通して、典雅な雰囲気を見事に醸し出した。また、「エチュード」作品10-1において、輝きに満ちたサウンドによって推進力の強い音楽を創出。そして「バラード 第1番」における終盤の劇的な表現も心に残る。(10月3日午後・スタインウェイ)

小林海都は、自然な流れの中で音楽を形成していた。「ワルツ」作品34-1における絶妙なワルツのリズムなど、エレガントな情趣が際立った演奏が印象的である。(10月5日午後・スタインウェイ)

小林とともに、京増修史の演奏も人気が高かった。彼は、まろやかで密度の高い音を通して、丁寧に作品を描き上げていく。「ワルツ」作品34-1における音の芯を弾ませるようなタッチは、典雅な趣を醸し出していた。(10月6日午前・ヤマハ)

今回のコンクールの最年少者、中島結里愛は15歳10か月でこの舞台に臨んだ。ピアノは、ベヒシュタインを選択。彼女らしい淡い詩情に満ち溢れたショパン演奏で、「バラード第4番」などでは、パッションあふれる音楽を披露。(10月7日午前・ベヒシュタイン)

西本裕矢も、前評判の高いピアニストだった。奇をてらうような音楽の解釈はなく、丁寧に作品と向かい合ったパフォーマンスであった。彼の持ち味である柔らかく煌めきを放つサウンドも存分に発揮されていた。もっと評価されてよい演奏であると思う。(10月7日午前・カワイ)
