David Khrikuliは2001年ジョージア生まれ。濃密なサウンドで、たっぷりと楽器を鳴り響かせてショパンのメロディを歌い上げた。ワルツやマズルカにおける言葉で語りかけるような息遣いは見事。
「マズルカ」作品56の第1番。楽想が移り変わる場面では、和声の変化を大胆に捉え、音楽に色合いをもたらした。「ワルツ」作品34-2において淡いメランコリーを繊細に浮かび上がらせ、「スケルツォ第4番」ではスケルツォ本来の軽快な側面をバランスよく表現。
(10月14日午前・スタインウェイ)

Tianyou Li は中国出身の21歳。才能豊かなピアニストだと思う。「《ドン・ジョヴァンニ》の「お手をどうぞ」の主題による変奏曲」では、スケールの大きなパフォーマンスを披露していたが、作品の細やかな変化を反映した演奏も聴きたいところ。ファイナルに期待したい。
(10月14日午後・スタインウェイ)

中国出身で16歳のTianyao Lyuは、今年1月にショパン国際ピアノコンクールin ASIAで奨励賞を獲得。その演奏を私は聴いているが、9か月で飛躍的な成長を遂げている印象をもった。
「マズルカ」作品59では、淡い詩情に満ち溢れたパフォーマンスを披露。緊張のせいか、響きがやや硬くなってしまったのは残念。しかし、「ピアノ・ソナタ第2番」では、大胆な感情を披瀝。「子守歌」は、煌めくようなサウンドで綴られた。音程を丁寧に捉え、音楽をふくよかに描き上げており、作品を深く読み込んでいたと思う。
(10月15日午前・ファツィオリ)
