しなやかな音楽性が光った鎌田紗綾

書類・DVD審査を経て選出されたのは日本から10名、ポーランドが6名、イタリア4名、中国、韓国、アメリカ合衆国から2名ずつ。圧倒的に多かった日本だが、第2次予選に進んだのは鎌田紗綾のみで、発表会場に衝撃が走った。

鎌田は昭和音大で江口文子と後藤正孝、木米真理恵に師事。しなやかな音楽性の持ち主で、1842年製プレイエルで弾かれたバッハの平均律の前奏曲はニュアンスが美しく、フーガは流れが良かった。ショパンのポロネーズはキラキラ光る音で楽しげに弾かれたし、1838年製エラールで演奏された《バラード第4番》もフレージングが美しく、ウィーン式アクションでは唯一演奏されたモーツァルトの《幻想曲 ニ短調》もドラマティックだった。

鎌田紗綾の演奏曲目:J.S.バッハ:平均律クラヴィーア曲集1巻より ト短調、モーツァルト:幻想曲 ニ短調、ショパン:ポロネーズ 変ロ長調Op.71-2、バラード へ短調Op.52、マリア・シマノフスカ:ポロネーズ ヘ短調