ファイナルの課題曲にも大きな変更点

第19回ショパン国際ピアノコンクールは、開催形態に変更はなく、映像審査を経て予備予選、そして3つの予選ステージとファイナルによって入賞者が決まる。しかし、課題曲にはいくつか変更点があると発表された。シュクレネル所長によると、「演奏される曲のバラエティを豊富にしたい」「課題とすべき曲を早い段階から皆さまに聴いてもらいたい」という意図から変更したという。

変更点は応募の時点から生じている。審査用のビデオは、これまで1曲ずつでも収録可とされたが、リサイタルの形で通して収録しなければならなくなる。さらに、これまで課題に含まれなかった前奏曲も、24曲が6曲ずつのグループに分けられ、1つのグループの演奏が義務づけられる。規模の大きな曲は、バラードの2番と3番の2曲に絞られている。

シュクレネル所長

第1ステージでは、ワルツが含まれることになる。ワルツというとウィンナワルツのようなイメージがあるが、ショパンのワルツをどのように弾くかというのはピアニストにとって大きなことだから、最初の段階で聴きたいという想いから変更されたという。

第2ステージでは、ポロネーズ1作品に加え、前奏曲から6曲演奏するのが必須となる。これまで第2ステージに入っていたワルツが一次予選になったぶんは、任意のピアノ独奏曲を、または前奏曲を全曲弾くこととなる。第3ステージには大きな変化は見られない。

もっとも大きな変更となるのがファイナル。ピアノ協奏曲に加えて、必ず《幻想ポロネーズ》を全員弾くことになる。この変更については、「ピアニストたちが音楽に入っていくための時間を設けたいと考えています。オーケストラとの共演が初めてのピアニストもいて、緊張したりすぐに入り込めないというコンテスタントを見てきたので、《幻想ポロネーズ》を弾くことによってその時間を設けられるのではないか、音楽に入り込んでいく、自分を高めていける曲ではないかと思う。ピアノコンチェルトは若書きの作品で、若い頃の作品だけを聴いて判断するのではなく、《幻想ポロネーズ》という円熟期の作品を合わせて弾いてもらうことで、より幅広いピアニストとしての素質を聴かせてもらいたい」と語られた。

第19回ショパン国際ピアノコンクール課題曲一覧

第1ステージ
・エチュードOp. 10 No. 1、Op. 10 No. 2、Op. 25 No. 6、 Op. 25 No. 10、Op. 25 No. 11から1曲
・ノクターンOp. 9 No. 3、 Op. 27 No. 1、 Op. 27 No. 2、Op. 37 No. 2、Op. 48 No. 1、Op. 48 No. 2、Op. 55 No. 2、Op. 62 No. 1、Op. 62 No. 2、エチュードOp. 10 No. 3、Op. 10 No. 6、Op. 25 No. 7から1曲
・ワルツOp. 18、Op. 34 No. 1、Op. 42から1曲
・バラードOp. 23、Op. 38、Op. 47、Op. 52、《舟歌》Op. 60、《幻想曲》Op. 49から1曲

 

第2ステージ
・前奏曲Op.28から6曲
・《アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ》Op.22、「ポロネーズ」Op.44、「ポロネーズ」Op.53、「ポロネーズ」Op.26から1作品
・ピアノ独奏曲から任意の1作品または前奏曲の残り(演奏時間が40~50分になるように)

 

第3ステージ
・「ピアノ・ソナタ第2番」Op.35または「ピアノ・ソナタ第3番」Op.58
Op.17、24、30、33、41、50、56、59からいずれかのマズルカ集
・ピアノ独奏曲から任意の1作品(演奏時間が45~55分になるように)

 

ファイナル
・《幻想ポロネーズ》Op.61
・「ピアノ協奏曲第1番」Op.11または「ピアノ協奏曲第2番」Op.21