牛田智大「その場でできる限りのことは尽くしたのかなと思う」

10月3日、第1ステージにおける牛田智大 ©Wojciech Grzedzinski

(「ワルツ」Op.42を選んだ理由)とくに明確な理由があったわけではなく、いろいろ試してみるなかで先生と相談し、いまの自分の状態や前後の作品との相性も含めて自然に聞こえるのではないか、ということで選びました。

ワルツのような「テンポが速いにも関わらず細部にわたって情報量が多い」作品をホールで演奏するのは難しいので、とても気を使いました。どんな響きやピアノの状態でも対応できるようにあまり細部まで固定しないようにして、その場で音を聴きながらいろいろ変化をつけたり……その時点でできる限りのことは尽くしたのかなと思っています。

山縣美季「ワルシャワの公園のリスがインスピレーションに」

10月3日、第1ステージにおける山縣美季 ©Krzysztof Szlezak

3曲の課題曲をひと通り弾いてみました。はじめは、Op.18 とOp.34-1の2曲で迷っていました。プログラムを決めるときには、他の曲との組み合わせなども考えます。でも、シンプルにOp.42に心を惹かれたので、このワルツを選びました。

Op.42には、ワルツの優雅さのなかにもさらに洗練された空気感があります。 始まり方も少し変わっていますし、構成もユニークですし、いろんなことを遊びつつ試すことができそうだなと思いました。

でも、ワルツのリズムは難しいですね。 何回も同じパッセージが出てきますし、違うエピソードも現れてきます。いろんなキャラクターを描いて遊びたいけど、なかなか簡単にはいかない……そう思いながら、コンクールに向けて準備を進めてきました。

ワルシャワに来て、公園でぼーっと過ごす機会が時々ありました。公園には、リスがたくさんいます。ナッツをあげたいと思っていましたが、なかなかうまくいきません。リスは、木の上に登って行ってしまうのです。

ワルツを練習していたとき、リスが木の枝を軽々と歩いていく姿がパッと頭の中に浮かんできたのです。すると、自分のなかでイマジネーションがどんどん広がっていきました。本番でも、かわいいリスたちを思い浮かべて、楽しく弾けました。