アマティ編

周防亮介さん「思い描く音楽が自然と音に繋がるようになってきた」~“ニコロ・アマティ”(1678年製)

周防亮介:1995年京都生まれ。7歳よりヴァイオリンを始め、2016年ヴィエニャフスキ国際ヴァイオリンコンクール入賞及び審査員特別賞を受賞。その他にも日本音楽コンクールや東京音楽コンクール、ダヴィッド・オイストラフ国際ヴァイオリンコンクールなど、数々のコンクールで優勝や入賞の実績を持つ。 第25回出光音楽賞、第25回青山音楽新人賞を受賞。 12歳で京都市響との共演を皮切りに、パリ管、フランス国立管、パリ国立歌劇場管、シュトゥットガルト室内管、プラハ室内管、NHK交響楽団、読売日本交響楽団など、数多くの国内外オーケストラと共演。また15歳で初リサイタルを行ない、2021年にはオクタヴィア・レコードより「チャイコフスキー&メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲」をリリース。 東京音楽大学特別特待奨学生としてアーティスト・ディプロマコースを修了。現在はメニューイン国際音楽アカデミーにて研鑽を積む  写真:©松尾淳一郎

宗次徳二様からご貸与いただき、5年目になります。当初から音色は柔らかくて温かみがありましたが、使い始めて2年を過ぎた頃から音量が豊かになり、さらに音の深みも増してきたことで、私自身が思い描く音楽が自然と音に繋がるようになってきたように思います。

 

お酒に例えるならば、とても温かみがあり豊かな音の深みと艶を感じる楽器です。楽器にとくに名前は付けていませんが、自分の子どものようにたくさんの愛情と感謝を抱き、楽器に話しかけながら毎日を過ごしています。

内外有数のコンクールで入賞して以来、ソロ、室内楽、コンチェルトと活躍の領域を広げつつある近年もっとも注目度の高い若手ヴァイオリニスト。人気急上昇中ですが、たしかにこのニコロ・アマティを使い始めてから彼の活躍ぶりが高まっています。

崔 文洙さん「音楽観、音色感、世界観すべてが変わった」~ニコロ・アマティ“グランド・アマティ”(1661年製)

崔 文洙(チェ・ムンス):東京生まれ。桐朋学園大学ディプロマコースを経て1988年ソヴィエト政府奨学金を受けモスクワ音楽院に留学、94年同音楽院を首席で卒業。数年に一度しか与えられない「ソリスト」の称号を外国人として初めて授与され、さらに同大学院へ進み1997年帰国。同年小澤征爾氏に認められ、新日本フィルハーモニー交響楽団のコンサートマスターに就任。2000年より同楽団のソロ・コンサートマスターを務める。2009年より大阪フィルハーモニー交響楽団の首席客演コンサートマスターにも就任。現在両楽団のソロ・コンサートマスターを兼任し、ソリスト、室内楽奏者としても多忙を極める。ロシア伝統のヴァイオリン・メソードの日本における唯一の伝承者であり、その気品に満ちた芸術性は高く評価されている。トリオ・エドアルテ主宰、DSCH弦楽四重奏団主宰。ショスタコーヴィチ弦楽四重奏曲全曲演奏プロジェクト始動中。第17回ホテル・オークラ音楽賞受賞。武蔵野音楽大学客員教授。http://www.munsu-choi.com

17、8年前にヨーロッパの友人から情報を得て入手。なんと申しましょうか。音楽観、音色感、世界観すべてが変わったと思います。年代もののブランデーでしょうか。旨味、コク、まろやかな深み、力強さ、すべてがバランスよく整っています。(名前は付けず)そのままアマティと呼んでいます(amatiという響きが好きなので)。

モスクワ音楽院で学び、帰国後は新日本フィルのコンサートマスターに就任、さらに2000年からはソロ・コンサートマスターとしておなじみの崔 文洙さんですが、現在は大阪フィルのソロ・コンサートマスターも兼任するなど、その活動は幅広いものがあります。

“グランド・アマティ”は、アマティの工房で比較的初期に製作されたモデルとされ、そのボディが356ミリゆえに“グランド・アマティ”と呼ばれています。それまでは350ミリを基準とするボディの楽器を主につくっていたようです。