「指揮者」のポストに就任する太田弦は、エルガー:演奏会用序曲《フロワサール》、ディーリアス:〈楽園への道〉、ヴォーン・ウィリアムズ:《揚げひばり》にドヴォルザーク:交響曲第7番で、若いながらバランスのとれた音楽性で魅せる。ヴァイオリン独奏は大江馨(2023年9月)

2006年より常任指揮者として仙台フィルを支え、現在は桂冠指揮者のパスカル・ヴェロもミヨー:《世界の創造》、ドビュッシー:《春》、コープランド:交響曲第3番など独特の選曲で楽しませてくれることだろう(2024年3月)。

仙台フィルハーモニー管弦楽団

山形交響楽団

創立51年目となる山形響。常任指揮者に阪哲朗が就任してからの新体制も落ち着き、演目に演奏にと新鮮さが広く知れ渡るようになってきた。新シーズンのテーマは“Dramatic”。コンサート会場で本当にドラマが見えるかのような世界を聴衆といっしょに旅したい、という思いから考案したという。新しい領域への飛躍を感じさせる良いフレーズだ。

開幕はベテラン広上淳一の指揮で宮沢賢治の童話をモチーフとした尾高惇忠:《音の旅》(抜粋)、それにショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲第1番とチャイコフスキー:交響曲第4番というロシアの深淵な作品がつづく。チェロ独奏は同楽団首席を務める矢口里菜子(2023年4月)。

続いて阪哲朗がウィーン・フィルの首席フルーティスト、ワルター・アウアーとのライネッケ:フルート協奏曲ニ長調と、モーツァルトのアンダンテK.315で場内を華やぎで包んだあと、ベートーヴェン:《英雄》に向かう。まさにドラマティックな流れだ(2023年5月)。

阪哲朗のモーツァルトはもっと聴くことができる。いちやく日本を代表するピアニストの一人となった小林愛実とのピアノ協奏曲第21番K.467と、交響曲第41番《ジュピター》というハ長調の広大な世界へと誘う。酒井健治のモーツァルトへのオマージュである《ジュピターの幻影》も演奏されるところが斬新だ(2023年9月)。

フィンランドの巨匠指揮者オッコ・カムによる北欧作品のコンサートも聴きのがせない。サッリネン:交響曲第2番《交響的対話》、ニールセン:フルート協奏曲、シベリウス:交響曲第1番。フルート独奏は楽団首席の知久翔(2024年3月)。

山形交響楽団