会見はさらに、「大規模イベントは8月末まで引き続き開催禁止」としたうえで、ここでいう「大規模イベント」を「多くの観客が狭い空間に立ったまま参加するようなもの」と定義している。
ところが、この表現がその後ドイツ語圏のメディアを大炎上させることになった。「大規模イベント」という言葉から、誰もが夏に開催を控えた国内のフェスティバル、とりわけ、ザルツブルクとブレゲンツの音楽祭を連想したことはいうまでもない。
2020年に創設100周年を迎えるザルツブルク音楽祭については、すでに3月26日、SNSを通じて総裁のヘルガ・ラブル=シュタドラー女史が世界中の音楽家とファンに一体となって難局を乗り越えようと呼びかけると同時に、「開催の可否については5月末に公表する」と伝えた。
しかしその直後、バイロイト音楽祭とエクス=アン=プロヴァンス音楽祭が相次いで実質上の開催中止を発表したため、大型フェスティバルのうちザルツブルクだけが一縷の望みをかけて感染拡大の情勢を見守る形となった。だが、ラブル=シュタドラー総裁は、他の音楽祭に同調するのはナンセンスだとして、いまなお「5月末」というデッドラインを崩していない。
100周年を迎えるザルツブルク音楽祭のトレーラー