作品を広めるための著作権ルール 「CCライセンス」とは?

橋本 町田さんは、誰でも無許諾で滑れるフィギュアスケートのエチュード作品を公開する「エチュードプロジェクト」を始動させていらっしゃいます。これはあえて著作権を解放し、学ぶ側の負担はできるだけ減らして、広く文化の担い手を育てようという試みですね。

町田 はい。フィギュアスケートにもバイエルやチェルニーのように、教材として自由に使える作品が必要だと考えたからです。2003年7月に、その第1弾としてプッチーニの「私のお父さん」に振り付けた「チャーリーに捧ぐ」という作品を、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CCライセンス)という著作権ルールのもとで公開しています。CCライセンスは、著作者自身が「この条件さえ守れば、この作品は自由に使っていいですよ」と意思表示できるルールで、とても使い勝手がいいんです。

橋本 CCライセンスは、著作権法を前提とした「契約」の一種です。エチュードプロジェクトの場合、利用者は、許諾者である町田さんが示した「クレジット表記、非営利利用、振付改変は常識の範囲内で」という条件を守りさえすれば自由に使える、という合意が成立した形になるわけですね。ちなみに、私が所属する骨董通り弁護士事務所のサイトに、メンバーが掲載している著作権関係のコラムにもCCライセンスをつけています。

町田 CCライセンスをつけることは、著作権について寛容であるという意思表示になりますよね。YouTuberなど、自分の作品を広く拡散させたい人はよく使っています。何かを生み出す人、SNSなどで情報発信したい人にはぜひ知っておいてほしいルールです。もちろん、CCマークがついていても、作り手が精魂込めてつくりだしたものであることには変わりないから、使う側にリスペクトは欠かせませんけれど。

坂口香野
坂口香野

ライター・編集者。東京都八王子市在住。早稲田大学第一文学部美術史専修卒、(株)ベネッセコーポレーションを経てフリーに。ダンス関係を中心に執筆。盆踊りからフラメンコまで...