インド・デビュー、メータさんとの共演を終えて、ガジェヴさんにお話を聞きました。
——リハーサルの合間、ステージ上で長い時間メータさんと話し込んでいましたね。
ガジェヴ 彼は意味のないことは何一つ言いません。“コメントするためにコメントする”みたいなことは一切なくて、相談もアドバイスも、言葉のすべてに意味があると感じました。
——オーケストラを頻繁に止めて綿密なリハーサルをしていましたね。
ガジェヴ そう、彼は自ら何を求めているか明確にわかっているので、それに達していないと感じたところは何度も繰り返します。でもそれこそが指揮者のあるべき姿だと思います。彼はとても強い人です。もちろんテクニックもあるけれど、それを超えて、求めるものを絶対に実現させる力を持っているのです。
そして同時に、そこにいるだけで楽団員に安心感を与える…… 絶対にできると感じさせる何かを持っています。まるで樹齢500年の大木のように。だから私たちに、”マエストロ、それはできません”と言う選択肢はないのです。