ゴースト・ライトが照らす一筋の光

——ザ・ローリング・ストーンズの曲名は「Living in a Ghost Town」で、ロックダウン中の街の様子に重なったことからリリースしたそうですが、動画のタイトルは「Ghost Light」。このタイトルにはどのような意味が込められているのですか?

ミーガン このタイトルは、劇場が「真っ暗」なときに灯されるライトからきています。ゴースト・ライトと呼ばれていて、すべての照明が消えているときにも劇場内を明るいままにしておくために、ステージ上に設置されます。劇場が(新型コロナウイルスの影響で)真っ暗になっている今、ゴースト・ライトはこの動画のイメージにぴったりだと思いました。

劇場が真っ暗になると灯されるゴースト・ライト。由来は、舞台の活気がお客さんと一緒に出ていってしまうことを防ぐためとも、劇場に住み着いた霊やゴーストを怒らせないためとも言われています。

——「Acting for Others」という団体に寄付するとのことですが、なぜ今回、寄付を募ることにしたのですか?

ミーガン 「Acting for Others」への寄付を募る理由は、イギリスの芸術部門にとても危機感を抱いているからです。私たちは忘れられている。もっと政府の助けが必要なのに。多くの劇場がつぶれかけていて、たくさんの従業員を解雇せざるをえなくなっています。すべての人たちにとって恐ろしい時期ですが、特にアーティストは、長い間仕事ができていないので。

「Acting for Others」は14の慈善団体のネットワークで、劇場関係者に経済的支援や心のケアを行なっています。アーティストみんなにとって今、非常に重要な組織なのです。

ロンドンの街がステージに!

——人影のないロンドンの街で踊るというのは、まさに「Living in a Ghost Town」にぴったりですね。どんな気分でしたか?

ミーガン 誰もいないロンドンの街中で踊るのは、とても不思議な気持ちでした。でも、広々とした空間で踊るのは、とてもリフレッシュになりました。私たちはみんな、あの美しいロイヤル・オペラ・ハウスの舞台が恋しいです。しばらく、自分の家の狭いリビングやキッチンで踊らなければならなかったから、路上で踊るのは快適に感じたわ。

——アスファルトで踊って、トウ・シューズが大丈夫だったのか少し心配になりました(笑)。

ミーガン 路上でスピンしたあと、私のトウ・シューズはハッピーではなかったけど、思い出のために大事に取っておくわ!(笑)

ロイヤル・オペラ・ハウス前にて。2017年から英国ロイヤル・バレエのソリストとして活躍するウィリアム・ブレイスウィル。
©Peter Saunders