稲垣 やっぱり耳が聞こえなくなってきたことを隠すために人と疎遠になってしまって、それによって奇人変人ぶりがどうしてもフィーチャーされるだけなのですね。
平野 人と冗談を言って大笑いしたいような人ですよ。
稲垣 じゃあよかった!(笑) 僕もけっこうそういう人たらしなところがあるので。
平野 それからもうひとつは、常に誰かと、誰でもいいんですけど、恋愛してないとっていう体質ですね。誰かを愛しているという状況がベートーヴェンには大事なんですよね。
稲垣 そうですよね。創作意欲。熱烈な手紙、ラブレターとか、残ってますもんね。そこも僕と一緒ってことで(笑)。
そういうところもすごく人間味が溢れていて、楽聖とは言われていても、勝手に親近感を感じてしまったりもします。僕ならではのベートーヴェンを観に来ていただけたらと思います。