――長田さんの場合はどうですか。反田恭平さん率いるジャパン・ナショナル・オーケストラに所属されていますが、ほのカルテットとの兼ね合いは?
長田 僕の場合は毎月公演があるわけではないので、両立というよりは、どちらかというと、僕自身の生活の基盤は この室内楽の側にあるんです。それでもやっぱり、年に2回ほど定期的にツアーがありまして、そこで海外など各地で経験を積んだメンバーが、そのために集まってきて、お互いに研鑽したものを出し合うんです。ずっと指揮者が変わらないっていうのも、逆にいいことなのかなって最近思っていて、同じ人がずっとメンバーで、指揮者も共に成長していく。
――新しいタイプのオケのあり方かもしれませんね。皆さん全員若いんですか。
長田 ほぼ同級生世代で、全員30歳ぐらいだと思います。毎回、みんないろいろと吸収してきて、ドイツのオケにいた子が隣にいたり。人数が少ないので、僕のイメージではカルテットの拡張版みたいな形です。カルテットで学びたかったこと、自分がまだできていないなって思うことを、オケでも学んで、こっちで活かして、みたいなことは、最近は意識しています。
僕は反田君と同じ学年なんですけど、初めて会ったのが2018年で、1回、別の仕事で一緒になったときに、すごい演奏っていうよりかは、人を気に入ってもらったみたい。翌年、彼がオケを作るってなった時に、ヴァイオリニストの岡本誠司君が僕のことを、面白いヴィオラがいるよって紹介してくれたんです。面白いヴィオラっていうのは、本当に「面白い」という、funnyのほうかもしれませんが。interestではなくて。(全員笑)
林 でも、健志君は、天性のムードメーカーというか、本当にfunnyなので、いてくれると、華やかになるっていうのはあります。
――ほのカルテットの公式YouTubeチャンネルで、長田さんが、結構サムネイルで目立ってるのがありますよね。クラシックの真面目なカルテットというよりは、ちょっとタレントっぽい感じで顔が出てるから、funnyっていうのはそういうことでしょうか。
長田 多分そのサムネを作ったのは僕です。
長田 高校1年生まで僕はヴァイオリンだったんですけれども、高校1年生でスーパーキッズ・オーケストラを受験する時に、合格通知がヴィオラならいいよみたいな感じだったんです。最初ヴィオラを全然知らなくて、ハ音記号も読めなかったですし。だから1から全部やり直し。半年で辞めようかと思っていたくらいです。
――スーパーキッズ・オーケストラ(SKO)は佐渡裕さんが兵庫県立芸術文化センターを本拠に熱心に進めている団体ですね。
長田 すごく楽しそうに弾く、素晴らしい先輩がいたので、そこでヴィオラをもうちょっと長く続けてみようとなった。その結果、東京藝大にも行きたくなって現在に至る感じです。