前述のサントリーホールのほか、ミューザ川崎シンフォニーホールや神奈川県民ホールでも昼間のパイプオルガン・コンサートを行ない好評です。
日本のオルガン界を牽引する松居直美がホール・アドバイザーを務めるミューザ川崎シンフォニーホールも早くからパイプオルガンのコンサート企画に力を入れてきました。
平日昼間にワンコインで聴ける「MUZAランチタイムコンサート」はバラエティに富む楽しい内容で広く愛されているシリーズですが、パイプオルガンを使ったプログラムが今シーズンも4回あり、とくに面白そうなのが、「パイプオルガン+和太鼓~洋と和の魂の饗宴~」。若手和太鼓奏者の大多和正樹が大木麻理とラヴェル《ボレロ》などで共演するのはこれまでなかった新機軸(2024. 1/16)。
そして同ホールの名物「フェスタサマーミューザKAWASAKI2023」の「真夏のバッハⅧ」(8/5)でもパイプオルガンが活躍し、今年は大塚直哉が弦楽五重奏と共演して、バッハの名曲を披露。
さらにクリスマスイブに開催される「MUZAパイプオルガン クリスマス・コンサート」も毎回趣向を凝らした内容でお客さんにオルガンの魅力を伝えています。通年のプログラムでオルガン・ファンをますます増やしているわけです。
東京芸術劇場は逆に「ナイトタイム・パイプオルガンコンサート」を打ち出しました。平日の19時半スタート、約60分間のコンサート。仕事や学校帰りにちょうどよい時間帯に設定されています。バッハ作品など、神聖で深い響きと音色は心身の疲れを癒すのにふさわしい。人気がでるのも分かります。この良い意味での“カジュアル感”はコア、ビギナーのクラシック・ファンの両方に求められているのかもしれませんね。