13. 音楽家になっていちばん幸せを感じるのは?
上野 あんまりあることではいのですが、舞台上で自分の満足がいく演奏ができたときは、弾いていて幸せだなと思うことがあります。絶対にうまくいったと確信できることは滅多にないですが、幸せですね。
——滅多にないんですね。
上野 瞬間瞬間はありますけど、総合的に完璧だったみたいなことはほとんどないんですね。
——ご自分の演奏を振り返ったりされますか?
上野 はい。あと何公演かあるときには、その日の録音を聴いて、その次の本番に対してどうインプルーヴできるか考えます。
14. エンドピンが長めに見えますが、こだわりは?
上野 エンドピンはこれまでいろいろ試してみて、とくにコロナ禍中には時間があったので、そのときに深く座って背中を後ろにつけるように変えてみたんです。それまで、本番で緊張したりアドレナリンが出ると身体が気張ってしまうことが多かったんですけど、それをどうしたらなくせるかなと思って。リラックスした座り方でチェロを構えたらどうなのかなと思って、試してみました。深く座ると自然とそのぶん距離があくのでエンドピンも長くなりました。音もわりとそれまでよりは太くなったので、それ以来定着しました。
15. 現代音楽に取り組もうと思ったきっかけは?
上野 現代音楽だから取り組むということはないのですが、現代音楽の中でも魅力のあるもので自分が美しさに惹かれたものを取り上げています。
16. 現代音楽のどこに魅力を感じる?
上野 スタイルはみなさんそれぞれで一概にこうと言えないですが、ほかの曲と比べると作曲家が身近に感じられるというのは取り組む方としては面白いなと思います。例えば、委嘱したらその方とお話しする機会があったり、前からよく知っている作曲家の方もいますし、そうでなくてもその人物像に関する資料は、クラシックの作曲家に比べると多くあって、情報量がすごく多いので、それは身近に感じられます。