第2プログラム(6/21)で演奏されるドビュッシーの「神聖な舞曲と世俗的な舞曲」は、ハープの代表的なレパートリーの一つと言える。
マゲン「現代のハープの原型となったダブル・アクション・ペダル・ハープは1810年に発明され、リストが使っていたピアノのメーカーであるエラール社は、19世紀初頭からこれを製造していました。
一方、ショパンが好んで使っていたピアノのメーカーであるプレイエル社は、エラール社に対抗して完全なクロマティック・ハープ*を発明し、このために同社がドビュッシーに依頼して作曲されたのが『神聖な舞曲と世俗的な舞曲』なのです。エラール社は、これに対抗するようにラヴェルに作品を委嘱し、『序奏とアレグロ』が生まれました。
メーカーの競争からハープの重要なレパートリーである2作品が生まれたというのは、とても興味深い歴史のひとコマですね。ちなみに『舞曲』はドビュッシーの時代からペダル・ハープで演奏されることもあり、今日クロマティック・ハープはほとんど使われません」
*クロマティック・ハープ:全音階用の弦に加え、半音階用の弦をそなえたハープ。2列弦や3列弦の楽器も考案された。19世紀まで使用されたが、より自由に変化音が得られるペダル・ハープに取って代わられた