ICPは、今回演奏されるギラッド・コーエンの「蛍の哀歌」(2017年)のように、現代の作曲家に委嘱した新しい作品の演奏にも積極的だ。この作品は、クラリネット、ハープ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロという、ICPならではの珍しい編成となっている。
コーエンはまた、マゲンにとって小学校3年生以来の友人であり、ソロ作品や協奏曲もマゲンのために書いているという。
マゲン「彼の音楽やスタイルはひじょうに独特だと思います。というのも、彼はロックミュージシャンとして成長したからです。
彼の音楽にはロックやフォーク音楽の影響が強く見られます。しかし同時に、彼はクラシック音楽の世界へと大きく方向転換し、伝統的・現代的なクラシック音楽について深い理解を持っています。
それらが巧みに融合された彼のスタイルは、音楽家だけでなく、幅広い聴衆にも強く訴えかけるものになっていると思います。
この曲を含め、彼がICPのために書いてくれた2曲は、ハープ界においてもっとも演奏されている新しい室内楽作品の一部となりました。
ハープはその構造ゆえ、作曲家にとってはやや複雑な楽器です。ハープの技術的な能力や演奏上の困難を詳細に学ぶことが欠かせません。
しかし現代音楽の世界では、前述したようなハープの多様な可能性が、作曲家にとってひじょうに魅力的なのだと思います」
▼【演奏動画】コーエン「蛍の哀歌」(作曲家公式YouTubeチャンネルより) 演奏:イスラエル・チェンバー・プロジェクト