歌ってみた、演奏してみた系のYouTubeはJASRAC管理楽曲であれば違法ではない

――動画ということでは、最近は自分で「歌ってみた」「演奏してみた」「踊ってみた」という動画もよく見かけますが、あれは大丈夫なのでしょうか?

YouTubeに限らず、プラットフォーム系で有名な動画サイトはJASRACやNexToneといった著作権管理団体と包括契約を結んでいます。

ですから、例えば私がJASRAC管理楽曲の中からどれかを選んで演奏して、YouTubeに上げても、それは違法ではありません。なぜなら、JASRACに対してYouTubeが使用料を払っているからです。

YouTubeが動画投稿サイト・ブログサービス等のUGC(User-Generated Contents)サービスプロバイダーと包括契約を結んでいるんですね。これはFacebookやInstagramの動画機能も同じです。

――JASRACの管理楽曲で、著作権使用料がかかりそうな曲であっても、それを自分で演奏してYouTubeにアップするのは問題ないと?

問題ないです。ただ、自分で歌ってみた、演奏してみた、ということに限ります。アーティストのCDの音源をそのままアップロードするのは、原則NGです。なぜダメなのかというと、JASRACが管理しているのはあくまでも楽曲で、音源そのものはレコード会社がレコード制作者の権利として持っているものなので。

逆に、JASRAC等が包括契約を結んでいないプラットフォームや、YouTubeでもJASRAC等が管理していない楽曲については、権利者を探して許諾をもらわないと違法な投稿になる可能性があります。

動画投稿サイト等にアップする前に、歌ったり演奏したりする曲がJASRAC等の管理かどうかを、データべースで確認するのが望ましいです。

「エンタテインメント法実務」(骨董通り法律事務所編、弘文堂)

林田直樹
林田直樹 音楽之友社社外メディアコーディネーター/音楽ジャーナリスト・評論家

1963年埼玉県生まれ。慶應義塾大学文学部を卒業、音楽之友社で楽譜・書籍・月刊誌「音楽の友」「レコード芸術」の編集を経て独立。オペラ、バレエから現代音楽やクロスオーバ...