――オーケストラ・プログラムで演奏されるフィリップ・マヌリ(1952-)の「メランコリア・フィグーレン」は、弦楽四重奏とオーケストラという編成にどのような必然性があるのでしょうか? マヌリの緻密で内容豊かな作品を理解するためのカギになるような言葉もいただけますか?
A 私たちは彼と親密な関係にあります。マヌリは彼の4つの弦楽四重奏曲のうちの3つを私たちのために書いてくれていますし、オーケストラとの「メランコリア・フィグーレン」も書きました。
彼の音楽はとても内容が豊かで、日本の聴衆に彼の音楽を知ってもらえることを嬉しく思います。いまでは、一連の作曲家が我々のために、弦楽四重奏とオーケストラのための作品を書いてくれています。
キーワードは、「先入観を持たずに聴くべし」。そうすれば、音楽があなたを連れていってくれます。私は音楽についてあまり多くを語るのは好きではないかもしれません。音楽は聴かれるためにあるものですから。
――50年間も現代音楽の最前線を走り続けることのできた秘訣は? アルディッティ弦楽四重奏団のメンバーに共有される不文律があればお教えください。
A 若い頃は、現代音楽は私の趣味でした。コンサートを聴きに行き、12歳でメシアンとクセナキスに出会い、15歳でシュトックハウゼンとリゲティに出会いました。趣味を職業にできたのはとても幸運でした。
私たちのために書いてくれる多くの作曲家と、私たちが演奏することを望むプロモーターがいたので、長い間キャリアを続けることはそう難しくはありませんでした。ですから秘訣のようなものは何もありません。作曲家と私たちが満足できるように、難解なことも多い音楽を学ぶために、熱心に努力してきただけです。
不文律は、そうですね……長い間、激務を共にするのだから、お互いに仲良くする必要があります。もし意見の相違があれば、食事やワインを飲みながら、それを忘れるのがいちばんよいですね。