アーヴィン・アルディッティを初めて取材したのは、1990年頃のことだった。そのときに彼はこんなことを言っていた。
「新しい音楽を聴いて、それを評価することは難しいことです。しかし、まず何よりも、新しく作曲された音楽に、聴いてもらえる機会を作ること、これが大事なのです。若い作曲家を導いていくのは大切な仕事のうちのひとつで、それがたとえ悪い作品であっても、ちゃんと取り上げるのは義務だと思っているくらいです。彼らが、自分たちの作品を実際耳にして、どういう作品をこれから作っていかなければならないのか、またどういう演奏の方法があるのか、ということを知ることができるのですから」
同じ時代を生きる作曲家たちが、新しい音楽を生み出したら、それを音にしなければ、という使命感と好奇心と情熱。それがアルディッティだと当時思ったものだが、その姿勢はいまもまったく変わらない。
いまもなお弦楽四重奏というジャンルが、先鋭的かつエキサイティングであり続けているのは、アルディッティ弦楽四重奏団の半世紀にわたる歩みが、とても大きな役割を果たしている。その総決算となる今回のコンサートにはぜひとも足を運びたい。
林田直樹
日時:2024年8月22日(木) 19:00開演
会場:ブルーローズ(小ホール)
出演
弦楽四重奏:アルディッティ弦楽四重奏団
第1ヴァイオリン:アーヴィン・アルディッティ
第2ヴァイオリン:アショット・サルキシャン
ヴィオラ:ラルフ・エーラース
チェロ:ルーカス・フェルス
ピアノ:北村朋幹
曲目
武満徹:「ア・ウェイ・ア・ローン」弦楽四重奏のための (1980)
ジョナサン・ハーヴェイ:弦楽四重奏曲第1番 (1977)
細川俊夫:「オレクシス」ピアノと弦楽四重奏のための (2023)[日本初演 サントリーホール、アルディッティ弦楽四重奏団委嘱]
ヘルムート・ラッヘンマン:弦楽四重奏曲第3番「グリド」 (2000/01)
料金:指定席 4,000 U25席 1,000
日時:8月25日(日) 15:00開演
会場:ブルーローズ(小ホール)
出演
弦楽四重奏:アルディッティ弦楽四重奏団
曲目
エリオット・カーター:弦楽四重奏曲第5番 (1995)
坂田直樹:弦楽四重奏曲 (2024)[世界初演 サントリーホール委嘱]
西村朗:弦楽四重奏曲第5番「シェーシャ」 (2013)
ハリソン・バートウィッスル:弦楽四重奏曲「弦の木」 (2017)
料金:指定席 4,000 U25席 1,000
日時:8月25日(日) 19:00開演
会場:ブルーローズ(小ホール)
出演
弦楽四重奏:アルディッティ弦楽四重奏団
ピアノ:北村朋幹
エレクトロニクス:有馬純寿*
曲目
ブライアン・ファーニホウ:弦楽四重奏曲第3番 (1986~87)
ジェームズ・クラーク:弦楽四重奏曲第5番 (2020)
ロジャー・レイノルズ:「アリアドネの糸」* (1994)
イルダ・パレデス:ピアノ五重奏曲 (2024)[世界初演 サントリーホール委嘱]
ヤニス・クセナキス:「テトラス」弦楽四重奏のための (1983)
料金:指定席 4,000 U25席 1,000
日時:8月29日(木) 19:00開演
会場:大ホール
出演
ヴァイオリン:アーヴィン・アルディッティ*
弦楽四重奏:アルディッティ弦楽四重奏団
指揮:ブラッド・ラブマン
東京都交響楽団
曲目
細川俊夫:「フルス(河)」~私はあなたに流れ込む河になる~弦楽四重奏とオーケストラのための(2014)
ヤニス・クセナキス:「トゥオラケムス Tuorakemsu」90人の奏者のための(1990)
※武満徹の60歳バースデーに寄せた作品
ヤニス・クセナキス:「ドクス・オーク」ヴァイオリン独奏と89人の奏者のための(1991)*
フィリップ・マヌリ:「メランコリア・フィグーレン」弦楽四重奏とオーケストラのための(2013)
料金:S席 5,000 A席 3,000 U25席 1,000
問合せ:サントリーホール 0570-55-0017
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